「J内定カルテット」が存分に力を発揮した関学大が、びわこ成蹊大に快勝した。

序盤から右サイドバック(SB)で鹿島アントラーズ内定の濃野公人主将(4年=大津)と、名古屋グランパス内定で23日北海道コンサドーレ札幌戦J1デビューを果たしたMF倍井謙(4年=名古屋グランパスU-18)が自在に位置を変えながら、左右から攻撃を活性化。

中央ではダブルボランチを組んだガンバ大阪内定のMF美藤倫(4年=東海大大阪仰星)と水戸ホーリーホック内定のMF長尾優斗(4年=G大阪ユース)が攻守で優位を保ち、試合をコントロールした。

濃野が右SBながらペナルティーエリア内で何度もボールを受けるなど神出鬼没の動きでびわこ成蹊大守備陣を乱し、倍井が外と中を使い分けながらキレのある動きを繰り返すと、前半16分に濃野の突破から美藤がつなぎ、ゴール左に流れたボールを倍井が右足で蹴り込んで先制した。後半5分に右サイドを抜けた濃野からのラストパスを倍井が押し込んで追加点を決めると、後半27分には、長尾がこぼれ球をペナルティーエリア外からダイレクトで蹴り込んだ。

濃野は「主導権を持ってやれたけど、もっと点を取れた試合」、倍井も「もっと決めるチャンスがあった」と満足する様子はなかったが、しなやかさとパワフルさを兼ね備える美藤、ダイナミックな動きで攻守に関わった長尾も含め、格の違いを見せるパフォーマンス。関学大時代に湘南MF阿部浩之(34)や東京VのMF諒太(34)とプレーした高橋宏次郎監督(33)も、4人について「それぞれタイプは違うが、自分の強みをピッチで示す力は阿部に近いものを感じる。さらに高いレベルでやれる選手たち」と、J1で長く活躍する同期にも劣らないポテンシャルを評価する。

倍井が上位争いをする名古屋のリーグ戦に1-1の状況で投入される経験をし、濃野、美藤、長尾は24日の日韓定期戦に全日本大学選抜として出場するなど実績を重ねているが、彼らが直近の目標として据えているのはパリ五輪にある。「ドンピシャの世代なので」と意気込む倍井は「今やっているアジア大会に参加できていないのは悔しい。いつでも呼んでもらえるように日頃からやっていきたい」。濃野も「パリは本当に意識するようになって、自分が入るために誰を抜かさなきゃいけないかを考えている。攻撃参加は負けない自信が付いているので、苦手なところを伸ばしたい」と鼻息荒い。大学リーグの1戦とはいえ、今後を期待させるハイパフォーマンスを見せた4人は、今後の五輪代表メンバー選考を難しくさせる存在となっていく。