FC町田ゼルビアが圧倒的な強さでJ2を制し、J1昇格を果たした。完璧を追い求めるのが黒田剛監督(53)の哲学だ。約30年務めた青森山田高監督時代には、攻撃面で1本中の1本を決めきるシュート精度、守備面では被シュート0にこだわってきた。チーム戦術やスカウティング等で完璧にこだわる姿勢はプロでも変わらない。

青森山田高出身の町田DF藤原優大(21)は「1つ1つの会話が深いし、すごく細かくて、80、90とかで手を抜かないし、しっかり100まで詰めて、それをしっかり言語化して自分たちに伝えてくれます」と証言する。

勝利の確率を1%でも上げるために験担ぎも1つの手段だった。「神頼みは最後になるかもしれないけど、やれることは全部やろう」と黒田監督。日本最高峰の富士山の写真を撮影したり、毎年2月には知る人ぞ知るパワースポットの宮崎県の霧島東神社で必勝祈願。自室にお札を飾るのを「決まりごと」にしていた。愛車のナンバーは名前の剛(ごう)にかけた「5」で、好んで5番の駐車場に止めることもあった。

一方、全国高校サッカー選手権前に日本一高い東京スカイツリーではなく、東京タワーに登り「2番目の高さだったから負けたかも」というおちゃめな「失敗体験」もある。

高校サッカー界で名将の地位を築いた。それでも、町田から監督就任のオファーが届き「今やるのは自分しかいない、人がやったことがないことをやるのも自分らしい」とリスク覚悟でプロの監督に転身。自らが結果を残すことで「高校サッカーの指導者たちの目標になったり、チャレンジする人が1人でも増えれば」との思いが強かった。

就任1年目でJ2優勝、J1昇格を決め、クラブの歴史を変えたが、これがゴールではない。「映画化されるぐらいはね」と、もっと先を見据える黒田監督の挑戦は道半ばだ。【山田愛斗】