関西プリンスリーグ1部で2位と躍進した近江(滋賀)が、インターハイ4強の日大藤沢(神奈川)をPK戦で退け、3回戦へと駒を進めた。

等々力で地元神奈川代表の日大藤沢が相手とあって、アウェー感たっぷり。声援の大きさに圧倒された中、前半早々に先制された。それでも冷静さを失わず、ピンチはあったが追加点は許さなかった。

後半に向けてハーフタイムに建て直し。前田高孝監督は「生き生きしてプレーできるように」と選手の配置を換えた。後半11分には「勢いを出せる」(同監督)MF山本諒(3年)を投入。ボールが回るようになり、流れは近江へと傾いた。

後半13分、MF鵜戸瑛士(3年)がゴール前やや右からエリア内へ浮き球のパスを送る。両選手が競ったボールが左奥へ流れたところをMF山門立侑(3年)が冷静にワントラップ。状況を見極め、右足で対角のゴール右隅へと柔らかなボールで送り込んだ。1-1の同点となった。

続けざまにFW小山真尋(3年)がゴールを狙うなど、主導権を握る時間が増えた。勝ち越し点こそ奪えなかったが、PK戦でもチームには落ち着きがあった。今夏のインターハイでは初戦で成立学園(東京)と2-2からのPK戦で敗れている。

「80分の試合で延長がなく、即PK。PKの重要性は分かっていた」(前田監督)。苦い経験を糧に、PKの練習をきっちりと積んできた。その成果をこの舞台で発揮。相手チームへの声援が5人目のMF西飛勇吾(3年)がきっちり決めると、歓喜の輪が広がった。

厳しい初戦と突破し、MF山門は「県大会の決勝でも相手の方が声援は大きかったから気にはならなかった。自分たちは得点力があると信じて戦った。プリンスリーグでもこういう(先制される)展開が多かったので、それが生きました」と話した。

アウェーで強敵を突破し、次はインターハイ王者の明秀学園日立(茨城)との対戦。今季は強敵を次々と破っている関西の雄だけに、大物食いの雰囲気が漂っている。