堀越(東京A)が3大会ぶりの8強入りを決めた。MF仲谷俊(2年)の決勝点でノースアジア大明桜(秋田)に1-0と競り勝った。選手主体の「ボトムアップ方式」を取り入れるチームが1戦ごとに成長し、夢の国立まであと1勝と迫った。

    ◇    ◇    ◇

未知の力を持つ若き「ダークホース」堀越がまた1つ、壁を突破した。

決勝点は前半28分、FW中村主将からのクロスボールだった。仲谷が左サイド2列目の位置からゴール前へと走り込み頭で合わせた。後方からどんどん前のスペースへ入っていく柔軟なスタイル。持ち味で勝負を決めた。ロナウジーニョ好きというMFは「いいボールが来たのでしっかり決められて良かった」。司令塔的な役回りだが得点力も兼ね備える。ただ頭でのゴールは「珍しい」と照れた。

選手同士でやり方を話し合うボトムアップ方式に長年取り組んでいる。この日、出場した16選手中3年生はわずか5人。11人が1、2年生だがピッチで臆することはない。先輩にも気軽に「タメ口」で声をかける。仲谷は「3年生に対して何も考えずに言いたいことが言える。試合中に意見交換がしっかりできていい」。ハーフタイム。自身とは対角の右インサイドハーフの吉荒に声をかけ、自分が前へ出る分、逆に下がってのリスク管理するよう伝えた。

「主役は選手」を体現。一戦ごとに成長し、ここまで接戦を制しながら無失点での全国3勝だ。20年度の第99回大会に並ぶ8強進出だが、佐藤監督は「あの時は2試合勝ってのベスト8。今回は3回勝ったし、重さが違う。堀越という名前を少し分かってもらえた」と喜びをかみしめる。

次は攻撃力を誇る佐賀東が相手。仲谷は「ベスト8が目標ではない。優勝を目指しています。1試合ごととに自分たちの成長を感じています」。可能性は無限大-。堀越が台風の目となってきた。【佐藤隆志】

第102回全国高校サッカー選手権スコア速報>>