5度の優勝を誇る市船橋(千葉)は12大会ぶりのベスト4進出を決めた。エースの一撃で名古屋を突き放し、12大会ぶりの国立返り咲きを決めた。

J2清水内定で、今大会の得点ランキング1位のFW郡司璃来(3年)。立ち上がりから厳しいマンツーマンのマークを受け、激しいファウルを受ける場面もあったが、冷静だった。

1-1の後半2分、右サイドからのクロスをMF須甲がスルー。ゴール前に走り込んでいた郡司が右足で仕留めた。「一気にスピード上げたら相手は付いて来られないと思っていた。考えたことができた」。ランク単独トップを守る5点目に「自分が点を決めてチームを勝たせたい気持ちがあった」と笑みをこぼした。

昨年8月のインターハイは、日大藤沢(神奈川)に敗れて4強を逃した。「自分がイライラして相手に当たってしまって、崩れて…」と猛省。「自分が崩れずに強みを出せればチーム一丸になれる」ことを身をもって知った。マークに遭うのは宿命。ましてや、プロの世界ではより厳しい警戒が日常になる。「イライラしたら何もできない、と分析もされていると思う」と課題を痛感し「ファウルを受けても(挑発には)乗らないぞ、好きなようにしてください、という感じでいた」。精神的面を改善、冬に大人の風格を漂わせた。

高校の大先輩、FW北嶋秀朗は96年度に6ゴールで得点王に輝いた。その記録まで1点と迫るが、大会前に掲げた「10点で得点王&優勝」の目標を下方修正しない。プレミア王者・青森山田との準決勝へ「次も点を決めて仕事をしてチームを日本一にさせたい」と意気込んだ。【岩田千代巳】

◆郡司璃来(ぐんじ・りく)2005年(平17)8月3日、千葉市生まれ。JSC CHIBAから市船橋へ入学して1年からレギュラー。U-17、U-18日本代表の経験を持つ。今大会は初戦の高川学園(山口)戦でハットトリック。姉3人、兄3人。長兄は野球部で高校時代に羽黒(山形)で05年センバツ4強入りした。次男の篤也はサッカーで市船橋の10番を背負った。三男克翔は尚志(福島)から現在は明海大。176センチ、72キロ。利き足は右。

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