仙台大からプロ入りしたモンテディオ山形DF相馬丞(じょう、22)とベガルタ仙台DF石尾陸登(22)がキャンプを経て、いよいよ24日、シーズン本番に臨む。同大ではバックラインでコンビを組み、守備の中核を担った。味方から敵へー。両チームの対戦は“みちのくダービー″と呼ばれ、多くの注目が集まる。ライバルとなったコンビが隣県で切磋琢磨し、ピッチ上での再会を目指す。

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信頼関係は抜群だった。相馬がプロを目指したのは高校2年。山形ユースでともにプレーしていたG大阪DF半田陸(22)と切磋琢磨するうちに、プロを志すようになった。その後、仙台大へ進学。そこで出会った石尾の存在が、その背中をさらに後押しした。

大学3年からセンターバック(相馬)とサイドバック(石尾)でコンビを組んだ。22年の大学サッカー選手権(インカレ)では石尾の活躍がスカウトの目にとまり、複数のプロチームの練習に参加。相馬は「悔しさも感じたが、尊敬の方が大きかった」と当時を振り返り、「何でもできる万能選手」と石尾を評価。「(石尾)陸登がいると安心して守備ができる」と信頼を寄せていたが、それは石尾も同じだった。「体も強いし、足も速いので、裏を取られても『(相馬)丞がいるから大丈夫』と守備ではずっと信頼を置いていた」。

集大成の昨年のインカレ。相馬は初戦の広島大戦(3○1)で股関節を負傷し、3回戦明大戦(0●2)を欠場。石尾が複数のポジションで活躍したが、これが仙台大での最後の試合となった。スタンドで試合を見届けた相馬は「この悔しさをプロの舞台で晴らしたい」と活躍を誓った。

味方から敵に変わったが、強い絆は変わらない。「スタメン定着」を目標に挙げた相馬は、長所の対人守備がプロでも通用すると好感触を得ている。それでも、レベルの高さを痛感し、お互いの近況を報告しあっている。車で山形から仙台まで約1時間という距離も2人の心のよりどころとなっている。

だが、ピッチに立てばライバルだ。石尾は「(相馬)丞以上に成長して、対戦したときにぎゃふんと言わせたい」と宣戦布告。相馬は「敵に回したくない相手だが、やるからには絶対勝ちたい…」と、言葉をかみしめた。強い絆で結ばれた仙台大コンビが成長した姿でみちのくダービー第1戦(4月13日、ユアスタ)で再会を果たし、ピッチで熱い戦いを繰り広げる。【木村有優】