J2山形の小林伸二監督(47)が12日、FW豊田陽平(22)に“バレリーナキック”を伝授した。午前の全体練習終了後、シュート技術を集中特訓。バレリーナのように足の指を曲げ、ひざを起点にしたコンパクトな蹴り方を指導した。足首が固定されて強く蹴れることに加え、速いシュート動作で相手をかく乱できる。開幕鳥栖戦で無得点に終わったエースFWの修正作業が、本格化した。

 チーム練習終了後の人工芝グラウンド。小林監督は豊田に付き添い、約20分間も指導を続けた。「指をバレリーナみたいに曲げて、力を抜いて蹴る。力を抜けばゴールに入るんだ」。すぐには豊田も理解できず、地面を蹴ってバランスを崩すなど試行錯誤を重ねた。「今までも習ってきたことなんですけど、今日は時間が長くてキツかった。『繰り返しやろう』と言われました」と話し、汗をぬぐった。

 小林監督は、豊田が足を思い切り振り上げ全力でシュートを打っているフォームを見て、修正を始めた。「大きなシュート動作をすると、蹴るまでに時間がかかるし、相手DFもGKも守りやすい。ひざの下だけでコンパクトに振れば、相手は対応できなくなる」。バレリーナのように足の指を曲げて、足の甲を伸ばすと、足首が固定されインパクトの瞬間、全体に力が入る。強く蹴らなくても、強烈なシュートが打てる。開幕戦でチーム最多4本のシュートを得点にできなかった豊田には、的確なアドバイスだった。

 小林監督は92年の広島コーチ時代、豊田と同じ長身FW高木琢也(現東京Vコーチ)の居残り練習に付き合い、シュート技術の向上で日本代表入りをバックアップした実績がある。豊田にも今後の活躍次第では、北京五輪代表入りの可能性がある。「豊田は体が大きいんだから、ちょっと蹴れば強いシュートが打てる」と小林監督。元FW選手ならではの熱血指導が続く。【柴田寛人】