天才ドリブラーが緑のピッチに戻ってきた。J1清水FW永井雄一郎(30)が1日、開幕後初めて全体練習に合流した。古傷の両ふくらはぎ痛と股(こ)関節痛で別メニューが続いていた。久しぶりの“実戦”となった、この日のミニゲームでは、さっそく1得点を挙げ存在感をアピールした。

 永井が「完全復活」にのろしを上げた。9対9のミニゲームで2トップを組んだFW原からの右クロスに、体を投げ出しながらのダイビングヘッドで合わせ、ネットを揺らした。「今日ぐらいだったら大丈夫だというのは分かった。(痛みを)多少は我慢しながら、ひどくならない程度でやっていく」と順調な回復ぶりに安堵(あんど)の表情を見せた。

 浦和一筋だったストライカーは、タイトル請負人としての期待を背負い、新天地の門をたたいた。しかし、初練習となったチーム始動日の1月26日にいきなりのリタイア。さらに、鹿児島キャンプ初日(2月8日)のウオーキング中に、古傷の両ふくらはぎを痛めて再離脱。開幕出場に照準を合わせたが、股関節にも痛みを訴え別メニューが続いていた。その後は、患部の完治を優先し、我慢強く治療に専念してきた。

 清水での「公式戦デビュー」には、練習試合などで結果を出していくことが条件。それでも長谷川監督は「もちろん早く戻って来てもらいたい」と早期復帰を待望し「順調にやれば、今月末には十分に間に合う」と、古巣・浦和戦(29日、エコパ)出場の可能性をほのめかした。「今は実戦感覚は、ないけどすぐに戻るものだから心配はしていない」と永井。「新ナンバー9」のお披露目は、すぐ近くまで来ている。【為田聡史】