<J1:山形3-1仙台>◇第13節◇17日◇NDスタ

 仙台はMF梁勇基(28)が、直接FKをねじ込んで一時同点としたが、決定機が少なくリーグ再開は黒星スタートとなった。

 仙台イレブンに次々と罵声(ばせい)が浴びせられた。今季初のブーイング。手倉森監督は「悔しい。因縁のある山形、伸二さん(小林監督)に負けて。ブーイング?

 みんな悔しい。仕方ない」と受け入れた。これまで半数を占めた仙台サポーターの数は、山形の3分の1の約5000人。昨季のJ1経験で大きくなった山形にのみ込まれ、初のダービー3連敗を喫した。

 一時は追いついた。0-1の前半13分、ゴール左31メートルの直接FKをW杯帰りのMF梁が決めた。低弾道のキックでGKとDFラインの間を狙い、ゴール右隅に突き刺した。一時は流れを引き戻したが、力尽きた。

 J1ダービー実現に貢献してきただけに手倉森兄弟の悔しさは倍増した。NEC山形を94年にJFLへ昇格させ、誠監督は「みちのくダービー」の呼称を使い始めた。「仙台の街や資金力に山形はコンプレックスがあった。それをライバル意識に変えたかった」。反骨心を山形のJ1昇格の礎とし、昨季は仙台をJ1に復帰させた。東北出身者がJ1ダービーを指揮する夢はかなえたが、結果だけは思い描いたものと違った。

 95年のJFLも99年のJ2も今回のJ1もダービー初戦は黒星発進となった。それでも、手倉森監督は「今日のような勝ち負けの悔しさを、J1ダービーを続ける糧にしたい」と夢の続きに期待した。【木下淳】