<J1:浦和0-5G大阪>◇第26節◇22日◇埼玉

 J1残留を目指すG大阪が、ゴールラッシュで3試合ぶりに勝利を飾った。敵地浦和戦で5-0の大勝。前半19分に大卒新人MF阿部浩之(23)が先制弾を決めると、その後はFWレアンドロ(27)が2発、FWパウリーニョ(30)が2発。J2降格圏の16位は変わらないが、今季7勝のうち全試合で3得点以上と不振のチームとは思えない攻撃力を見せた。この日はG大阪、C大阪で活躍し、99年に急逝した久高友雄さん(享年36)の命日。天国の先輩へ、白星を贈った。

 敵地のブーイングが、心地よかった。4万6046人の大観衆で膨れあがった会場でゴールラッシュ。前半19分に新人阿部が左足先制弾を挙げると、頼りになる外国人2人がそれぞれ2発を決めた。J2降格圏の16位に沈むチームとは思えない得点力を見せつけた。今季7勝のうち全試合で3得点以上。これも「超攻撃」が看板のG大阪らしい。殊勲の阿部は頼もしげに言った。

 「(DFを)外してシュートを打つのは大学の頃からやっていたので、自分の形に持っていけた。大アウェーは分かっていたけど、試合になったら音(歓声)も聞こえなかったです」

 見えない力が、選手の背中を押した。この日はG大阪の前身松下電器に10年以上所属し、93年のJ初年度にも活躍した久高友雄さん(享年36)の命日。99年に急逝した先輩を知る選手は、もうほとんどいない。それでも試合前にはクラブ職員が、背番号8に「KUDAKA」と入ったG大阪のユニホームを墓前にささげ、遠藤や明神らが一筆を記した寄せ書きを届けた。必ず勝ちます-。勝たせてください-。全員が祈った。

 3試合ぶりの白星でも、苦しい状況は変わらない。残り8戦でJ2降格圏の16位。松波監督は「最後までゴールを目指すサッカーができた」と言うが、好不調の波が激しいのも事実。故障から復帰したDF加地は「まだこれから。連勝しないと意味がない」。レアンドロも「今日はうまくハマった。でもJ2に落ちないようにしないといけない」。1勝で浮かれてはいけない。厳しい戦いは、これからが本番になる。【益子浩一】