エースが「主将」の自覚を示した。J2磐田のFW前田遼一が9日、33歳の誕生日を迎えた。磐田市内での調整後、チームメートらから生卵と水の手荒い祝福を受け「うれしかったですね」と笑みをこぼした。

 18歳から磐田でプレーするエースは、名波浩新監督(41)にキャプテンマークを託された。黄金期を支えた偉大な先輩から「ゴールでチームを引っ張る責任では足りない。彼の地位は確固たるもので、その地位はだれからも信頼されて尊敬されている。そこに責任を乗せたかった」と示された思い-。前田は「僕のいいところも悪いところも知っていて、指名してもらったと思うので」と前置きし、こう続けた。

 前田

 ふさわしいとはまったく思ってないですし、そう思われてもいないと思いますけど、これからふさわしい選手になれるように、という気持ちで引き受けました。

 新監督の初陣、愛媛戦で先制点を挙げた。前節大分戦は負けたが、声を出してチームを鼓舞し続けた。練習では各選手に積極的に声をかけ、リーダーシップを発揮する。「前回は0点で負けて攻撃が全然、機能しなかった。それは一番前にいる僕の責任でもある」と反省の弁。明日11日のホーム岐阜戦に向け「次は、しっかり攻撃陣がいい働きして、後ろを楽にした戦いをしたい」と口にした。

 自動昇格を争う2位松本との勝ち点は8差。「現実的に離れてることは確か。1つずつ勝っていくしかない」。プレーで、メンタルで、前田が強いキャプテンシーを発揮してチームをけん引する。【岩田千代巳】