来季J1に復帰する山形が、仙台DF渡辺広大(28)を完全移籍で獲得することが15日、確実となった。近日中にも合意するとみられる。山形は今季途中でセンターバック(CB)の西河とジュヨンが故障で相次いで離脱。3バックへのシステム変更も余儀なくされ、シーズン序盤は控えだった石井と當間に加えて、サイドバックが本職の石川や舩津が最終ラインに入るなど、本格的なCB獲得が急務となっていた。

 山形は渡辺のJ通算170試合の豊富な経験と、180センチの高さや対人の強さを高く評価。今季から就任した石井肇テクニカルディレクター(54)が横浜時代に獲得に乗り出したこともあり、J1昇格決定前からオファーを出して獲得を熱望していた。

 渡辺は05年から仙台ひと筋で10年間プレー。09年から選手会長を務めるなど人望も厚い。ただ今季は夏場からスタメンを外れることが多く、リーグ戦は15試合の出場にとどまっていた。出場機会がない中でも真剣に練習に取り組む姿勢は若手選手の手本となり、仙台への愛着も強かったが、出場機会を求めて移籍を決断したとみられる。

 山形では、GK山岸の完全移籍が決定的になっており、G大阪から期限付き移籍中のFW川西も残留へ向けて交渉を進める。さらに、層が薄いサイドバックの補強にも乗り出す方針で、4季ぶりJ1参戦に向けて着々と手を打っている。

 ◆渡辺広大(わたなべ・こうだい)1986年(昭61)12月4日、千葉県四街道市生まれ。市船橋高では2年から主力。3年時には主将で全国選手権準優勝し、05年に仙台へ加入。08年は守備の要としてJ1昇格に貢献。J1通算85試合5得点。J2通算85試合4得点。180センチ、77キロ。