日本がドバイでカナダと対戦し、ワールドカップ(W杯)前最後の国際親善試合で実戦テストを終えた。中盤の底、ボランチで先発したMF柴崎岳(30=レガネス)がMF相馬の先制点をアシスト。ボランチの主力、MF遠藤は脳振とうからの復帰途上、MF守田は左ふくらはぎの違和感を訴えている。台所事情が苦しい中、4年前のW杯も経験した柴崎が、キャプテンマークを巻いて中盤で輝いた。
4年前のW杯ロシア大会。決勝トーナメント1回戦の舞台、ロストフナドヌーの夜空に響いた、地鳴りのような歓声。あの場面の再現のようだった。ベルギーからの原口の先制点をアシストした時と同じような、柔らかいパスを柴崎が供給した。浮き球で、中央にできたスペースを瞬時に突く。走り込んだ相馬の、右足つま先に合わせた。「ここまできたら、どう波に乗って本番に入っていけるかが、すべて」。2度目のW杯へこう話していた柴崎が、キャプテンマークを巻き、自らのパスで先制点をアシストした。
4年前は16強の立役者。約4年をへて、サッカー観も変化した。日本代表ではベンチを温める時間が増えた。それでもランニングでは必ず、先頭を走る。「出たい思いもある。ただ、それ以上に日本代表が勝つために。日々の行動、生活の中でもできることをやる」。遠藤、守田の不在でボランチは窮地。困ったこの日のような場面こそ出番。底力が試される場面。しっかり爪痕を残した。
批判も浴びてきた。0-1で敗れたアジア最終予選のサウジアラビア戦(21年10月)では、痛恨のバックパスが失点への“スルーパス”となった。以来、定位置を失った。スピード不足、球際の強さ不足など、課題も指摘された。ただ、ブレなかった。選出後は、「自分には強みがあると思っている。それを評価されて選ばれていると思う」と口にした。遠藤のような球際の強さはないが、チームの苦境で持ち味を発揮し、結果で示した。
後半途中からは好調のMF鎌田とのダブルボランチを組み、うまく連係。チームがスムーズに回るように、腐心した。燃えるような野心はあるが、W杯初出場の選手が多いチームの黒子に徹する。柴崎が輝きを取り戻した。大舞台に向かう森保ジャパンにとって、プラスの材料になった。【岡崎悠利】
◆過去のラストマッチ 日本はカナダ戦を終えて本番に向かう。直前の結果はW杯での成績には直結しない。18年ロシア大会はパラグアイに4-2に勝って本大会に入ったが、収穫は勝利よりも控え選手の奮起だった。香川、乾、柴崎のMF陣が本番でも先発の座を勝ち取り、16強入り。10年南アフリカ大会は直前の国際親善試合で4連敗。ジンバブエとの練習試合も0-0ながら、新布陣の手応えを得て1次リーグ突破。06年ドイツ大会前にはドイツと2-2の打ち合いを演じ、期待が膨らんだ。だが、次のマルタ戦もほぼ主力を起用して控え組の士気が低下。1-0で勝ったものの低調な内容で、本大会は3戦未勝利。


