ドイツ戦は勝機あり! どんなチームでも初戦は特に難しい。

どんな強豪でも、初戦は硬くなるし、普段の実力を出すまでには時間がかかる。ドイツだって同じだ。FIFAワールドカップ(W杯)本大会直前の最後の調整試合では16日にオマーンと対戦した。9月のネーションズリーグのハンガリー戦なども見たが、小回りが利く日本の攻撃にてこずる可能性があると感じた。

ドイツはDFラインを含め、速くて強い。しかも長身がそろう。それでも攻略方法はあるはずだ。横の動きへの対応には少しスキが見える。要するに直線的なプレーには強いけれど、瞬発力を使った柔軟性のある横の動きを挟んでくるドリブル突破には少し対応が鈍い。三笘や久保、堂安のように速くで瞬発力のあるドリブラーが個人で突破を図り、チャンスを作るシーンが見られるはずだ。

ドリブル突破時に気をつけてほしいのは、あまり相手の懐に入りすぎないこと。距離感を保ち1対1の勝負を仕掛けたい。あまりにも相手の近くでドリブル突破を図ろうとすると、大柄な選手につぶされる可能性が高まる。簡単にボールを失えば逆に相手攻撃に起点を作られてしまう。一定の距離を保ち、ドリブル突破を仕掛けることも有効的だと思う。

グループでの戦い方も注意してほしい点がある。カナダ戦を見る限り日本代表は選手間の距離感が少し離れバランスを崩していたようにみえた。選手間の距離が遠くなるとパスが効果的につながらなかったり、パスミスの可能性も高まる。ドイツ戦は相手と1対1の時の距離感(間合い)と、味方同士の距離感とバランスがキーポイントになる。

あとは失点をどう防ぐか。カナダ戦のようにセットプレーは最も危険で、ドイツはセットプレーにおいてのボールの質がいいし、高さもアイデアもある。ボールにいく選手は誰なのか? マークする選手を明確にし最後まで離さないこと。特に高い集中力を保ってプレーしたい。ペナルティーエリア付近で危険な場所ではファウルしない、簡単にCKで逃げないことも重要になる。

ドイツは毎試合60~65%のボール支配率でポゼッションし、ゲームを進めてくる。日本は守備ラインをある程度下げ、引き込んだところから勢いを持ってカウンターを狙うと予想される。気をつけたいのは必要以上にラインを下げないことだ。ペナルティーエリア付近で相手に時間を与えてしまうと、正確で強烈なミドルシュートを自由に打たれてしまう。オマーン戦でもサネらは常にそれを狙っていた。そのシュートからの2次攻撃で失点することもある。

当然、簡単に勝てる相手ではない。しかし一方で、欧州選手の多くは日本人プレーヤーの特徴でもある細かいステップからの速いドリブルは苦手でもある。その特徴が試合にうまく出てくれれば、勝つチャンスは十分あると信じている。

(磐田スポーツダイレクター・元日本代表MF)