90分間激しく走り回るサッカーというスポーツの特性上、喫煙者がトップレベルでプレーするのはなかなか難しいと思う。

 だが英サッカー界ではスウェーデン製の「スヌース」という“かぎタバコ”がまん延している。

 粉状のスヌースは、内頬と歯茎の間にはさんでニコチンを摂取する。日本でも発売されているが、がんを引き起こすとして1992年以降、欧州のほとんどの国では販売を禁止されている。

 だが英デーリーメール電子版によると、英国の若いサッカー選手の間で「精神的、肉体的な高揚がある」としていまだに使用者が増えているのだという。

 たしかに集中力や注意力、筋力を高める効果があるという研究結果も出ているが、それゆえ世界アンチ・ドーピング機関はスヌースを「注視すべきもの」のリストに入れている。ニコチンの摂取は体に悪い上、摂取した物質によって集中力などが高められるという意味で“ドーピング”なのだ。

 レスター岡崎慎司のチームメート、イングランド代表FWジェイミー・バーディー(31)も、16年に出版した自伝の中で、スヌースの使用を認めている。試合後のレスターベンチに、使用後の袋が捨てられている“証拠写真”もある。

 スヌースは英国でももちろん禁止なのだが、スウェーデンなどからインターネットを使って簡単に手に入れることができる。トッププレーヤーがやっているのを見て、若者がまねをするのは英サッカー界、いや一般の社会にとっても良いこととはいえない。

 影響力のあるサッカー選手たちには、簡単にこういったものに手を出してほしくない。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)