メキシコ1部パチューカに05年に在籍した福田健二氏(39)が、同クラブへの移籍が決まったFW本田圭佑(31)の成功に太鼓判を押した。16日、強化ダイレクターを務めるJ2横浜FCの練習試合の後に取材に応じた。メキシコリーグは日本人に合うとし、標高約2400メートルの本拠地で本田のFKの威力が増すだろうと指摘した。

 現役時代に6カ国12クラブを渡り歩いた福田氏は、パチューカでの05年の挑戦を懐かしむように言った。「本田圭佑らしい選択だなと思った。なかなか知られてはいないけれど、可能性のあるチーム。欧州にも遜色はない。体格的にもそんなに大きな選手がいるわけではないが技術は高い。だから日本人には合う。絶対にやれる」。どこか“後輩”の誕生がうれしそうだった。

 福田氏によると、生活面の心配は無用のようだ。「オーナーも熱い方だし、土地もあるので家も広々としたところに住めるはず。タコスも美味しい。メキシコシティーまで車で約1時間ほど走れば日本の食材も入手できる。レストランもある。家族での生活も問題ありませんでした。本田はスペイン語も学んでいると聞いているし」。

 「1つ苦労するのは」として挙げたのは、標高の高さだ。パチューカ市の標高は約2400メートルで「私も10日間くらいは、1本ダッシュをしただけで(疲労で)腰が曲がってしまった」と振り返る。メキシコリーグの本拠地で最も標高が高いのは、トルーカの本拠地トルーカ市で、標高は約2700メートルある。福田氏の記憶には、「3300メートルくらい」と残るほど、空気が薄く感じられ、苦労したという。逆に「海抜0メートルに近い」ベラクルス市や、ティフアナ市などの港町での試合は「楽だった」と笑った。

 だが、本田には高地でのプレーはプラスの面もあるとみる。「標高が高い分、空気抵抗が減るから、ボール速度が速くなる。得意のFKにはアドバンテージになると思う。大いに生かして欲しい。FKレンジ(距離)も広げていけると思う。楽しみです」。ACミランでは出番に恵まれなかった本田が、新天地での“高地トレ”で復活することに期待を寄せた。【鎌田直秀】

 ◆福田健二(ふくだ・けんじ)1977年(昭52)10月21日、愛媛・新居浜市生まれ。現役時代はFW。千葉・習志野高から96年名古屋入り。98年にはストイコビッチと2トップを組んでチーム得点王。東京、仙台を経て、グアラニ(パラグアイ)-パチューカ-イラプアト(以上メキシコ)-カステヨン-ヌマンシア-ラスパルマス(以上スペイン)-イオニコス(ギリシャ)-愛媛-夢想駿其(香港)。パチューカではリーグ戦21試合出場12得点。昨年6月に引退し、同7月に横浜FC強化ダイレクター就任。179センチ、73キロ。利き足は左。