アンフィールドの奇跡だ! 前回準優勝のリバプール(イングランド)が本拠地でバルセロナ(スペイン)を4-0で下し、2試合合計4-3の大逆転劇で2季連続の決勝(6月1日、マドリード)に進んだ。

第1戦のアウェーを0-3と完敗し、決勝進出には大量得点が必要の中でエースFWサラーとFWフィルミノが負傷欠場。自慢の3トップはFWマネだけと厳しい台所事情ながら、代役のFWオリギと途中出場のMFワイナルドゥムがともに2得点を挙げた。

奇跡を起こしたアンフィールド・スタジアムに、世界で最も有名な応援歌「You’ll Never Walk Alone」の大合唱が響き渡った。

大量得点が必要な中、プレミアリーグ得点王のサラーとフィルミノが不在。名将クロップ監督も「勝つことはサッカー界で最も困難だ」と話すバルセロナが相手。現行の大会となった92-93年以降では史上初となる3点差をはねのけての決勝進出に、指揮官は「永遠に忘れることのない試合だ」と感慨に浸った。

予想外の出来事がチームの勝利につながった。前半にDFロバートソンの負傷により急きょ、後半からピッチに送り出したMFワイナルドゥムが躍動。1-0の後半9分に右クロスを右足ダイレクトで決めると、さらに2分後には左クロスを頭で合わせてチーム3点目を挙げた。不測の選手交代が的中した。

後半34分には、クロップ監督が「誰がCKを蹴ったのかも分からず、気づいたら得点が入っていた」と振り返るゴールが生まれた。20歳のDFアレクサンダーアーノルドは右CKにボールをセットすると、蹴らずにピッチ内へゆっくりと歩き始めた。4歩進み相手守備陣がボールから目を離したところで、素早くコーナーフラッグへ舞い戻り、ゴール前へグラウンダーのパスを送り込んだ。意表を突いたプレーに相手選手は誰も反応できず。オリギはフリーで合わせ、楽々と決勝点を挙げた。

予想だにしなかった逆転劇に、クロップ監督は「このようなことは2度と起こらないだろう。これがサッカーだ」。さらに「彼らは信じられないことを成し遂げた」と絶賛した。リバプールと言えば、04-05年の決勝でACミラン(イタリア)を相手に前半0-3から後半の3得点で追いつき、PK戦の末に優勝した「イスタンブールの奇跡」で知られる。その時以来となる14季ぶり通算6度目の優勝へ、これ以上ない勝ち方で上昇機運に乗った。