東京オリンピック(五輪)予選を兼ねたU-23(23歳以下)アジア選手権が開幕し、A組で、前日本代表監督の西野朗監督(64)率いるタイが、1次リーグ初戦でバーレーンに5-0で勝利した。

自国開催で、上位3チームに与えられる五輪出場権=東京行きの切符獲得を期待されている西野タイは、初戦で好スタートを切った。

18年ワールドカップ(W杯)ロシア大会では、開幕2カ月前に瀕死(ひんし)の日本代表を急きょ率いることになった。驚異的な勝負強さと、選手を尊重する器の大きさで、チームを短期間でまとめてみせた。世界最高峰の戦いで1次リーグ突破、16強へと導いたダンディーな名将が、再び大きな勝負に打って出る。

タイを率い、五輪切符獲得をという難しいミッションに挑む。

タイA代表と五輪を目指すU-22(現U-23)代表監督への兼任での就任から約半年。「国の目標は26年のW杯出場。そういう意味では、今大会で自分たちの立ち位置が分かると思う」と話している。

一方で、正直すぎるダンディー指揮官は、U-23にの現状について「対外試合、強化の試合が足りていない。国内キャンプをして、国内クラブと試合をしたくらい。海外遠征に出ていることもないし、十分ではない」とぶっちゃけてもいる。

大会は16チームが4組に分かれて1次リーグを行い、各組2位までが準々決勝に進む。開催国枠で出場が決まっている日本を除く上位3チームが五輪出場権を得る。

西野タイは1次リーグは日本と別の組で、11日にオーストラリア、14日にイラクと対戦する。

突破すれば、決勝トーナメントの初戦(準々決勝)で日本と対戦する可能性もあるが、完全に格上と位置づける森保ジャパンとの対戦について「全く視野に入りません。この大会は3試合に対するチャレンジしか考えていない」と話している。

地元の大きな期待を背負い、地の利を生かし、そして何より圧倒的な勝負勘をフルに活用し西野監督は、東京五輪で、一部で、その手腕とダンディーさもあり、熱狂的に愛されている日本へと凱旋(がいせん)することはできるのだろうか。