【ビリャレアル=高橋智行通信員】日本代表のビリャレアルMF久保建英(19)が大暴れした。欧州ELの1次リーグ初戦となるシワススポル(トルコ)戦で、加入後初先発。先制点など1ゴール2アシストを記録し、5-3での白星スタートに大きく貢献した。実力者ぞろいのチームで厳しいポジション争いが続く中、猛アピールに成功した。

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やっと巡ってきたフル出場の機会を、久保は文句なしの結果で終えた。今季の自身初ゴールとなる先制点は前半13分。MFチュクウェゼのシュートがGKにはじかれたこぼれ球に詰め、左足で冷静に蹴りこんだ。力強く拳を握り、チームメートにもみくちゃにされた。

かつて自身について「1つとれば乗るタイプ」と話した通り、止まらなかった。20分には中央から、左足のアウトサイドで技ありのスルーパスをゴール前へ。FWバッカの追加点をアシストした。同点とされた後半12分には左CKをDFフォイスの頭にぴたりと合わせ、3点目を演出した。試合後は「個人的には満足している。これからも積み重ねることを続けたい」と、落ち着いた口調で話した。

1年目の経験が生きている。昨季のマジョルカでも、シーズン序盤はベンチを温める時間が続いた。巡ってきた出場機会で結果を残し、序列を覆した。「常に格上、同格の相手と互角以上に渡り合ってきた」という自信があるからこそ、焦りはなかった。リーグ戦で久保を先発させないエメリ監督の起用法が議論となる中で「誰がプレーするか決めるのは監督。すべての選手がスタメンを望む。激しい競争がある」。結果で道は開かれると、19歳は自らの経験を持って知っている。

マジョルカで一気に株を上げた時のように、再びチャンスで実力を発揮。「ここから先が楽しみ」と笑みを浮かべた。リーグとELによる過密日程もあり、出番は増える。この日のプレーを続けることが、主力定着への光明になる。