22-23年のスペインリーグは、12日(日本時間13日午前4時)にオサスナ-セビリア戦で開幕する。日本代表MF久保建英(21)は今夏、レアル・マドリードからレアル・ソシエダードへ5年契約で完全移籍。退路を断ってスペインでの4季目に臨む。

久保は地元紙のインタビューで「ラ・レアル(レアル=王立の称号を最初に与えられたRソシエダードの愛称)のようにゲームを支配する攻撃的なチームに所属しているので、得点とアシストで計20ゴール(にかかわること)がいい数字だと思う」と目標を掲げた。

スペインでの最高成績はマジョルカに所属していた19-20年シーズンの4ゴール4アシスト。その倍以上という高い目標に言及したところに、今季にかける強い意気込みが表れていた。

これまでのスペイン生活は、所属するクラブの状況に振り回されてきたと言っていい。期限付きで所属したヘタフェ(20-21年シーズン)は15位、マジョルカ(21-22年シーズン)は16位。残留を第1の目標に掲げて戦う下位クラブの守備的戦術、中盤を省略した放り込み戦術の中で久保が生かされることは少なかった。バルセロナの「ティキタカ」に代表される華麗なパスサッカーのイメージが強いスペインだが、すべてのクラブがそうではないのだ。

Rソシエダードは過去4シーズン、9位、6位、5位、6位といずれも1桁台の順位の中堅クラブ。アルグアシル監督はRソシエダード下部組織出身で、指導者としてもRソシエダードユースからBチーム、トップチームと昇格してきたクラブはえぬきの指導者だ。

アルグアシル監督は、久保同様にRマドリードでチャンスを生かすことができないでいた左利きのテクニシャン、ノルウェー代表MFウーデゴールを開花させたことで知られる。ウーデゴールは期限付き移籍していたRソシエダード(19-20年シーズン)で4ゴール6アシストをマーク。現在はアーセナルに必要不可欠な司令塔にまで成長している。

久保はRソシエダードについて「自分のプレースタイルに一番合っているチーム」と話している。スペイン4季目。いよいよ久保建英の100%を見ることができそうだ。【千葉修宏】

 

▽展望

ベンゼマ、ビニシウスを中心に、各ポジションでバランスの取れた王者Rマドリードが連覇を狙う。これをバルセロナやAマドリードが追う展開。注目はクラブ経営が迷走中のバルセロナ。レバンドフスキやラフィーニャ、クンデら大物を次々に獲得したものの、支出を制限するリーグのサラリーキャップ制度によって、開幕までに全員を登録できるめどが立っていない。放映権や関連会社の株式などを切り売りし、規定をクリアしようとしているがどうなるか。