今季の欧州CL16強、スペイン1部Rソシエダードの日本代表MF久保建英(22)が、意外にも自身初という国立を沸かせた。
25日にシーズンを終えジャパンツアーとして来日、東京Vとの親善試合に先発した。選手紹介時に最も大きな拍手が送られ、試合ではボールを持つたびに歓声が上がる。48分間でドリブルやシュート、パスで高いクオリティーを示して4万人超をうならせた。チームは2-0で勝利。久保はこの後、W杯2次予選(6月6日ミャンマー戦、11日シリア戦)に臨む代表に合流する。
久保が聖地を満喫した。A代表歴は、新国立が開業した年と同じ19年からと長いが「実は」と自ら切り出した通り、国立のピッチでプレーするのは初めてだった。東京五輪も埼玉や日産スを転戦。J1東京時代も味スタが主で、親善試合もなく「とりあえず出られて良かった。それが一番」と充実の笑顔で振り返った。
スタンドのざわつきが注目度の集中を物語った。後半3分、交代ボードが14番を光らせると、主役がタッチラインへ向かう。会場全体から残念がる声がもれたが、すぐ拍手に変わった。ゲスト解説のDF菅原が「聞いていた話と違う」と笑い話で明かした早期交代だったが、太もも裏に違和感を覚えて、自ら交代を申し出たという。「けがする前に交代したので、けがはしていない」。問題なしを強調しつつ、初の国立に気合が入ったのかもしれない。
存在感は抜群だった。前半14分、自身が起点となってDFオドリオソラの決定機を演出。同18分にドリブル、その12分後にはパス交換で敵陣深くまで進入し、チャンスを創出した。らしい遊び心も。41分に右サイドでやや、さらすようにボールを持って相手DFを誘うと、股抜きで突破。エリア内まで運んでシュートまで持ち込み「1プレー1プレーで盛り上がってくれるとありがたい」。描いた通りに右サイドで沸かせた。
わずかな時間でも観客を楽しませるエンターテイナーぶり。25日の最終節から長時間フライト、時差調整に、パリ五輪の不参加も認めた難しい時間の中で「自分たちのやれることはやれた。少しでも楽しい気持ちで帰ってもらえれば。楽しかった」と上機嫌だった。6月4日に誕生日を迎える至宝が、国立に初推参の22歳ラストマッチを、快勝で締めくくった。【佐藤成】

