サッカー専門誌フランス・フットボールが選定する24-25年の最優秀選手「バロンドール」の表彰式が22日(日本時間23日)、パリで行われ、28歳のフランス代表FWウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマン)が初受賞した。18歳71日のスペイン代表FWラミン・ヤマル(バルセロナ)は次点だった。
女子はスペイン代表MFアイタナ・ボンマティ(バルセロナ)が初となる3年連続受賞。男子最優秀GK「ヤシン賞」にはイタリア代表ジャンルイジ・ドンナルンマ(パリSG、現マンチェスター・シティー)、21歳以下最優秀選手「コパ賞」にはヤマルが2年連続で選ばれた。
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「キャリアではいろんなことがあった…」。デンベレは受賞スピーチで感極まった。「今起きていることは特別なことで、とても言葉には言い表せない」。ぬれた目元をぬぐい、途切れ途切れに言葉をつむいだ。
「少しストレスも感じている。このトロフィーを勝ち取るのは簡単じゃない。レジェンドのロナウジーニョから授与してもらえるなんて特別なことです」
昨季パリSGが欧州を席巻した。エムバペがRマドリードへ移籍したことを受け、右ウイングから中央へと移り攻守に獅子奮迅の活躍を見せた。欧州CLで8得点6アシストでクラブの初優勝に貢献し、大会最優秀選手を獲得。フランスリーグは4連覇、フランス杯も制した。公式戦53試合で35得点14アシスト。前年(50試合6得点12アシスト)から数字を約3倍増にさせた。
加えて「デンベレプレス」と呼ばれる最前線からの鋭いボールチェイスで相手ビルドアップを崩し、ショートカウンターの餌食とした。人間変わればこそ-。気まぐれだった俊足ドリブラーはパリでハードワーカーへと変身し、夢の階段を一気に駆け上がった。
紆余(うよ)曲折のサッカー人生を歩んだ。ドルトムントから17年夏、ネイマールの後釜として20歳でバルセロナへクラブ史上最高額の移籍金1億5000万ユーロ(当時約261億円)で加入。「天才」と呼ばれた若者は遅刻や、食生活の乱れによる筋肉系の故障が目立ち、6年間でリーグ通算127試合で24得点34アシスト。「コスパが悪すぎる」と批判され、期待を裏切る形で23年に約5000万ユーロ(同約73億5000万円)でパリSGへと放出された。
だがルイス・エンリケ監督のもと生まれ変わった。「23年に私を迎えに来てくれたPSGに感謝します。会長、監督は私にとって父のような存在です」。そして会場で見守った母ファティマタさんへの言葉。「あなたの特別な支えがあったからこそ」。壇上に母を招いて抱き合った。
サッカーは何でも可能だ-。努力を重ねる過程で自身が繰り返した言葉を、あらためてかみしめた。
◆ウスマン・デンベレ 1997年5月15日生まれ、フランス北部エヴレー出身。父はマリ出身、母はモーリタニア・セネガル系。爆発的なスピードを有するドリブルを武器にレンヌ、ドルトムント、バルセロナ、パリSGに所属。ドルトムントでは香川真司ともプレーした。フランス代表では18年W杯ロシア大会優勝、22年カタール大会準優勝。178センチ、67キロ。
○…ボンマティが3年連続受賞の偉業を達成した。メッシの4年連続、ロナウドの3年連続があるが、女子では初。憧れのイニエスタからトロフィーを授与され「まだ信じられません。本当に他の誰かが取ってもおかしくなかった。チームメートたちと素晴らしい1年が送れました」。20-21年、21-22年のMFプテラスに続きバルセロナからは5年連続での受賞となった。

