【セビリア=高橋智行通信員】レアル・ソシエダードが、2019-20年以来6シーズンぶり4度目の優勝を果たした。アトレチコ・マドリードとの決勝は前後半を2-2で終え、延長でも決着が付かずPK戦に持ち込まれた。GKマレーロが2本セーブし、4-3で制した。3カ月近い長期の負傷から復帰した日本代表MF久保建英(24)は後半43分から出場し、得点には絡めなかったが、プロ初タイトルを手にし歓喜した。現地から高橋智行通信員が死闘をルポする。
■3カ月ぶり復帰の久保はベンチスタート
6季ぶり4度目の優勝を目指すRソシエダードは、ネグレイラ、レウスFCレディス、エルデンセ、オサスナ、アラベス、ビルバオを破り、決勝にたどり着いた。
マタラッツォ監督はオドリオソラとスベルディアをけが、ザハリャンを胃腸炎で欠く中、先週末のアラベス戦から先発メンバーを4人入れ替えた。システムは4-2-3-1で、バレネチェア、スチッチ、ゲデス、オヤルサバルが攻撃陣を形成した。アラベス戦で約3カ月ぶりに戦列復帰したばかりの久保建英は、公式戦3試合連続でベンチスタートとなった。
すでにリーグ優勝の可能性が失われているAマドリードは、欧州チャンピオンズリーグ(CL)と国王杯に集中している。今大会はアトレチコ・バレアレス、デポルティボ・ラ・コルーニャ、ベティス、バルセロナに勝利し、13季ぶり、11度目のタイトル獲得のチャンスを得た。
4日前の欧州CL準々決勝第2戦バルセロナ戦での激闘や過密日程による疲労が懸念され、ハンツコとヒメネスが負傷欠場の状況下、シメオネ監督はスタメンを1人のみ変更。4-4-2で臨み、今季終了後に米MLSオーランド・シティ移籍が決定しているグリーズマンが古巣相手にフリアン・アルバレスと前線でコンビを組んだ。
Rソシエダードが国王杯でAマドリードと対戦するのは21度目。これまでの戦績は6勝7分け7敗とやや負け越している。決勝での顔合わせは、PK戦の末に勝利した865-87年シーズン以来、39年ぶり2度目となった。
■スペイン国王杯史上最速先制点
スタンドはお互いのサポーター2万7000人に2分され、試合前、両チームのクラブカラーのモザイクで彩られた。そして、スペイン国歌が流れた際には激しいブーイングが飛んでいた。
優勝すればリーグ戦の結果を待たずに来季の欧州リーグ出場権を獲得できるRソシエダードは、キックオフと同時に攻撃を仕掛けた。GKマレーロのロングキックを左サイドで受けたゲデスがクロスを上げ、バレネチェアがヘッドで合わせ、国王杯決勝最速となる開始14秒で先制点を手に入れた。
早々に失点したものの、主導権を握ったAマドリードは、左サイドのルックマンを起点に攻めていき、4分にフリアン・アルバレスがFKを直接狙うがマレーロにセーブされる。
それ以降、拮抗した展開となる中、Rソシエダードは17分にバレネチェアがミドルシュートを打つが、GKムッソの好守に阻まれる。Aマドリードはその1分後、グリーズマンのパスをペナルティーエリア内で受けたルックマンが左足を振り抜き、同点にした。
Rソシエダードは20分過ぎから徐々にボール支配率を高めていき、両サイドを使って相手DFの背後を突き、ゲデスやカルロス・ソレールがゴールを狙うがDFに阻止される。しかし前半アディショナルタイム、立ち上がりからいい動きを見せていたゲデスがヘディングシュートを打った際、ムッソのパンチングが顔面に入り、PKを獲得。これをオヤルサバルが冷静に決め、Rソシエダードが再びリードし、前半を終了した。
■マタラッツォ監督逃げ切り策裏目
後半は1点を追うAマドリードが再びボールをキープし、Rソシエダードが後方で構えてカウンターを狙う展開で進んでいく。
Aマドリードが17分に最初の選手交代を行ったのを皮切りに、両チームが次々と選手を入れ替えていった。Aマドリードがルックマンやグリーズマンを下げてセルロートやニコ・ゴンサレスなどを投入し、攻撃陣をリフレッシュした一方、Rソシエダードはバレネチェア、オヤルサバル、ゲデスなどの攻撃の主力を下げ、守備を固めた。
マタラッツォ監督は逃げ切りを図るも、これが裏目に出る。攻勢のAマドリードは38分、左サイドのクロスを起点とした攻撃からパスをつなぎ、最後はフリアン・アルバレスがゴール正面から豪快な左足のシュートを決め、土壇場で2-2の同点にした。
■バエナがV弾決められず…延長突入
Rソシエダードはこの直後、5枚目の交代枠で久保を投入するも状況は変わらず、Aマドリードは42分にバエナが決定的チャンスを得たが、至近距離からのシュートを決められず、延長戦に突入した。
延長前半は一進一退の攻防戦となる中、Rソシエダードは8分に、久保のヒールパスからスチッチがシュートを打つがムッソにファインセーブされ、弾かれたボールをオスカルソンが狙うも、再び阻止された。
Aマドリードはその直後、フリアン・アルバレスのシュートがクロスバーを直撃し、勝ち越し点を奪えなかった。
延長後半は両チームともに疲労の色が濃くなり、どちらも決定機を作れずにPK戦に突入した。
PK戦はマレーロが立て続けに2本セーブし、オスカルソン以外の4人がシュートを決め、Rソシエダードが2-2からのPK戦4-3で勝利した。
<PK戦の結果>
(A)●セルロート
(R)○カルロス・ソレール
(A)●フリアン・アルバレス
(R)●オスカルソン
(A)○ニコ・ゴンサレス
(R)○スチッチ
(A)○アルマダ
(R)○アイエン・ムニョス
(A)○バエナ
(R)○パブロ・マリン
■死闘制し来季の欧州リーグ出場権
6季ぶり、通算4度目の国王杯優勝を達成し、来季の欧州リーグ出場権を獲得した。MVPには試合を通じてファインセーブを披露したマレーロが選出された。
Rソシエダードの選手たちは優勝決定後、ゴール裏のサポーターの元に駆け寄って喜びを分かち合い、オヤルサバルがスペイン国王フェリペ6世から授与された優勝トロフィーをピッチ中央で掲げ、スタジアムは歓喜の渦に包まれた。
今季最初のタイトル獲得のチャンスを逃したAマドリードはこの後、欧州CL初優勝を目指すことになる。

