フランス(FIFAランキング3位)のFWキリアン・エムバペ(27=Rマドリード)がW杯新記録を樹立した。イングランド(同4位)から2ゴールを奪い、アルゼンチンFWリオネル・メッシ(39=マイアミ)の21点を上回る通算22得点とした。今大会のゴール数も単独トップの10点。メッシに2点差をつけ、2大会連続の得点王に大きく前進した。1大会10点以上は1970年メキシコ大会でゲルト・ミュラー(西ドイツ)以来、56年ぶりの偉業。ただ試合は4-6で敗れ、大会を4位で終えた。
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金字塔にもエムバペは不満だった。イングランドに敗れ3位を逃したからではない。ファイナルの舞台に立てなかったこと、何よりメッシと再び戦えなかった。思いはそっちにあった。
「歴代最多得点者になるよりは、明日の試合(決勝)に出場したかった。自分がそうした選手の1人だったと振り返るのは、後世に語り継ぐという意味では良いことだが、今日、私の頭の中をよぎっているのはそういうことではない」
22年カタール大会決勝でメッシのアルゼンチンに敗れ、4年の歳月を経てのリベンジへの思いは強かった。その思いはかなわなかった。大会の終了とともに、さびしさが募ったのだろう。
3位決定戦。最初は上の空だった。前半で4失点。歴史的大敗も頭をよぎった。あまりに惨状にエムバペはピッチで冷ややかに笑っていた。というより、打ちのめされて笑うしかなかった。しかしこの4失点がエムバペのほおを強くひっぱたく行為となった。
後半は目の色が違った。もう笑っていなかった。後半3分、オリセのスルーパスから左足を振り抜き、反撃の1点を決めた。続く同9分には自ら正確なスルーパスを通し、バルコラの得点をアシスト。2-4とし、チームは生き返った。同21分にはデンベレからパスを受けると、オリセとの素早いワンツーパスでイングランドの守備網を突き破り、左足でゴールを奪った。
大会通算得点はメッシを抜いて22得点。今大会も10得点となり、メッシに2差のリードした。結果的に試合は前半の4失点が響き、4-6という歴史的な打ち合いの末に敗れた。「我々も人間らしさを見せた」と反省。そして「彼らのおかげでしっかり目を覚ますことができた。そして後半、我々は再び感情を一切持たないメンタルのロボットになった」。感情を消して“ロボット”へと昇華する。目の前のプレーに集中し、勝利への強い信念を持って戦う。それこそが勝者のメンタリティーだった。
W杯は23回目を迎えるが、ここまでハイレベルな得点王争いはない。まさに超人たちによる戦いだ。18年ロシア大会の決勝トーナメント1回戦、22年カタール大会の決勝と激闘を繰り返してきた2人。ライバルであり、互いを認め合う同士だ。だからこそエムバペは期待するかのように「レオはいつもゴールを決めている。明日(の決勝)も、彼は必ずゴールを決めるよ!」。ピッチのロボットも、戦い終えれば人間としての心を通わせた。


