箱根は山だけじゃない! 東京箱根間往復大学駅伝(来年1月2、3日)で「3連覇&大学駅伝3冠」を狙う青学大が17日、神奈川・相模原キャンパスで会見を開催。エースで3年連続の2区(23・1キロ)が確定した一色恭志(4年)が、日本人3人しか達成していない66分台の快走に挑む。常に5区の山登りにスポットライトが当たってきた箱根で、主役の座をエース区間の2区に奪い返す。

 エース一色の秘めた自負だった。前回、2区で区間3位。タイムも67分35秒と、前々回より10秒縮めただけで「あまり大きな進歩をしていない」と分かっている。それでも自分がエースだ。5区山登りに「山の神、山の神とばかり言われた」と、ライバル心が顔をのぞかせた。

 過去10年で総合優勝した大学のうち、延べ7校が5区の区間賞を獲得した。加えて青学大には一色の1年先輩で、15、16年に5区を走った「山の神」神野大地(コニカミノルタ)がいた。特に初優勝の15年は、神野が5区区間賞で往路優勝をつかみ、そのまま押し切った。それでも一色は「(話題は)山ばかりだった」と残念がる。

 神野は卒業し、今回、原監督は「青学に神はいない」と言い切った。距離が23・2キロから20・8キロと短くなったこともあり「5区は区間5位ぐらいでいい」と青写真を描いた。その分、一色にかかる期待は大きい。実は、一色は大学の3大駅伝を過去10回走り、区間賞がない。常に各校のエースと戦ってきたためだ。

 一色は、2区の目標を「青学の記録が67分26秒。それを上回るのはもちろん、66分台を出したい」と打ち立てた。最大の敵は、今年の出雲、全日本で同じ区間を走り、ともに区間賞を奪われた山梨学院大のニャイロ(2年)だ。「区間賞はほしいが、ニャイロが66分台前半で走ったら、それはすごい」。

 今年は、2月に東京マラソンで、マラソン初挑戦。日本人3位、総合11位に食い込んだ。その経験を生かし、2区も最初10キロから飛ばす意気込みだ。最後3キロが上りだが「めちゃくちゃきついマラソンを経験した。十分に耐えられる」。最後の箱根は、山の神ではなく、真のエースが3連覇、3冠に導く。【吉松忠弘】

 ◆一色恭志(いっしき・ただし)1994年(平6)6月5日、京都府生まれ。仙台育英高から愛知・豊川高を経て青学大に進学。1年時から3大駅伝にフル出場。箱根駅伝では2、3年時に2区で連覇に貢献。今年2月の東京マラソンでは2時間11分45秒の日本人3位で11位。169センチ、55キロ。