名門早大が、復活ののろしを上げた。首位の青学大に33秒差の5時間34分18秒で、13年大会以来の往路2位につけた。3区で主将の平和真(4年)が区間2位と力走し、6位から2位に浮上。5区の山登りでは、一時は青学大と2分近く離されたが、安井雄一(3年)が後半に追い上げた。大学駅伝3冠を達成した10~11年でも、箱根は往路2位から総合V。打倒青学大と同時に、中大と並ぶ最多14度目の総合優勝も見えてきた。

 早大は、青学大と33秒差の2位でフィニッシュ。「悪くても首位と2分差内」との想定を上回る出来に、相楽監督は「反撃できる範囲」と期待を込めた。

 5区スタート時点で、青学大との差は1分29秒。安井は走る直前まで「区間賞を狙える自信があった」。スタートすると「走り始めた瞬間につりそうになった」。約7・5キロ地点の大平台で、1分56秒差に開いた。ゴールまで10キロを残した時点でエンジンがかかり、最後は一気に差を詰めた。

 昨年11月の全日本でアンカーを任されながら、優勝目前だったチームを2位に落とした。それ以来、「何かを我慢して自分を追い込む」と、レース前に必ず食べていた好物のメロンパンを封印。この日は、ゴールで待つメロンパンと全日本の雪辱が原動力で、最後には「リズムを取り戻せた」と踏ん張った。

 安井の頑張りにつなげたのは、3区の平だ。2区の永山(2年)とともに、2週間前に行った10マイル走で、足を痛めた。永山が区間10位と沈む中、「3区を走りたい」と自ら志願しただけに、痛む左ひざをものともしなかった。区間2位でチームを2位に押し上げた。

 早大は、中大の14回に次ぐ歴代2位、13回の総合優勝回数を誇る。しかし、11年に3冠を達成して以来、3大駅伝で1度も優勝していない。相楽監督は「気をつけていたが、3冠でどこか慢心があったのかもしれない」。3冠時の渡辺監督が15年の箱根を最後に退任することでチームにカンフル剤を注入。今季は、渡辺監督の下でコーチだった相楽体制になって2年目、再び優勝が狙える位置に戻ってきた。

 往路でメンバー変更をしなかったため、復路は最大4人の選手変更が可能だ。補欠には井戸、佐藤(ともに4年)、光延(3年)、新迫(1年)ら、エース級が控える。特に昨年9区区間賞の井戸は、出雲、全日本を回避したスランプから脱し、相楽監督が「往路に使えるほど好調」と言うキーマン。最多優勝への準備は十分に整った。【吉松忠弘】