男子110メートル障害で高山峻野(24=ゼンリン)が向かい風0・6メートルの条件下、自らの日本記録に並ぶ13秒36で2年ぶり3度目の頂点に立った。

2位泉谷駿介(19=順大)と1000分の2秒差の大接戦を制し、今秋の世界選手権(ドーハ)代表に内定。日本記録保持者は金井大旺(23=ミズノ)を含め3人となった。

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空前の競り合いは、高山が意地で差し切った。向かい風に加え、強い雨が降った悪条件。出だしで泉谷に先行され「思ったより前で、焦った」と中盤は力みが出た。それでも差を詰めると、最後のハードルを跳び越えて再加速。場内のざわめきと同時に「負けている感じだった」と覚悟したが、13秒356の泉谷を13秒354で何とか上回った。

6月の布勢スプリントで日本タイ記録の13秒36をマーク。天候が味方しない中で自己記録に並んだ。常に控えめな24歳は「僕だけの力じゃない。2人で出した(13秒)36」と泉谷を繰り返したたえた。2大会連続の世界選手権内定にも「うれしいけれど、現段階で世界と戦えるレベルじゃない」と厳しく分析した。

29日の準決勝では日本記録を持つ金井が、0・099秒早くスタートしてフライングによる失格。ピストルの音から0・1秒以内の反応は「音を聞く前に反応した」という医学的根拠で不正スタートとなるため、涙をのんだ。この日の泉谷の力走により、日本記録保持者は3人。ドラマチックな2日間を締めくくり、3人の最年長である高山は「ハードル全体のレベルが上がっている。もっと競り合って、タイムを更新したい」。3強が日本のハードル界を熱くする。【松本航】

◆高山峻野(たかやま・しゅんや)1994年(平6)9月3日、広島県生まれ。中広中、広島工大高、明大・法学部を経て、ゼンリンへ。日本選手権は15、17年に続く3度目のV。17年世界選手権は予選敗退。18年ジャカルタ・アジア大会は銅メダル。血液型AB。趣味は読書、お絵描き。182センチ、73キロ。