男子で2時間1分39秒の世界記録を持つエリウド・キプチョゲ(37=ケニア)が、自身の記録を更新し、優勝した。2時間1分9秒だった。6度目の出場で4度目の優勝となった。

昨年の東京オリンピックで2連覇を飾り、マラソン界の絶対王者として君臨するキプチョゲ。序盤から積極的にレースを引っ張った。ベルリンの平たんな市街地コースは「世界最速コース」とも呼ばれる。自ら「人間が限界を超える可能性を示す」と意気込んで臨んだレースだった。

ペースメーカーが外れた25キロ地点は1時間11分8秒。4年ぶりの参戦で、その2018年に世界記録を樹立した時を1分16秒上回るハイペースで飛ばした。

30キロも1時間26分45秒で、世界記録よりも1分5秒速いタイムで通過。35キロも1時間40分10秒と世界記録よりも51秒上回る。独走状態となる中、自身との闘いだった。

見守る観戦者の声援を受けながら、その勢いは落ちない。40キロ地点でも世界記録を39秒上回り、見事に世界記録を達成した。

満面の笑みでキプチョゲは「私の足と体はまだ若い。しかし最も大事なことは私の心であり、それも新鮮で若々しいものだと感じること。世界新記録を打ち立てることができ、本当に幸せな気分だ」と喜びをかみしめた。

キプチョゲは、2019年10月12日には非公認の記録ながら人類で初めて「2時間の壁」を突破している。ウィーンでの2時間切りに挑むチャレンジで、1時間59分40秒で走った。ペースメーカーが1㌔あたり2分50秒のタイムで走れるように、先導車は道にライトで目印を作り、変動のない理想的なペースメークをアシスト。風よけにもなるペースメーカーは前5人、後ろ2人が入れ替わる形で、42・195キロを走破している。

まさしく生ける伝説。11月5日で38歳となるが、2年後のパリ・オリンピック(五輪)では史上初の3連覇も期待されそうだ。