陸上男子短距離の多田修平(27=住友電工)が、今夏のパリオリンピック(五輪)代表入りへ意欲を燃やした。

13日、アジア室内選手権(17~19日、イラン・テヘラン)への出国前に羽田空港で取材対応。60メートルに出場予定で「6秒4台を出して大差で優勝できれば」と意気込み、1月に桐生祥秀がマークした室内日本記録(6秒53)の更新を見据えた。

21年東京五輪では100メートルで予選敗退、1走を務めた400メートルリレーではバトンを2走へつなぐことができず、棄権となった。「五輪が終わってからは、気持ち的にも前向きになれなかったのが本音」。その後は世界選手権出場も2大会連続で逃した。

復活を期すべく、今オフは筋力トレーニングに注力。頻度を例年の週2回程度から「ほぼ毎日」へ増やした。体重も3キロほどアップしており「今年はダイナミックな走りができるのでは」と手応えをつかんでいる。

コンディションの変化に加え、楽しみなチャレンジもある。シーズン初戦となった1月下旬のカザフスタンでの試合では、60メートルで6秒58をマーク。その決勝では多田以外の全員が厚底シューズを履いていた。

「我慢してでも履かないといけない。自分ももっともっと変わっていかないと世界では戦えない」

そこで今大会は厚底シューズを解禁。「以前は接地が沈むので足が流れていたが、今はしっかり踏めるようになった。前方向への推進力に変えていけている」と新たな自信も芽生え始めている。

2大会連続の五輪代表入りには、参加資格を満たした上で6月の日本選手権で好成績を残すか、世界ランキングで上位に入る必要がある。多田は世界ランキングの対象大会で着実に記録を残すことを見据えつつ、「9秒台を出すのがベスト。そのために良い流れをつくれるように」と宣言。「今は前向きな気持ち。この気持ちを継続させて、パリや東京の世界陸上へさらに頑張っていきたい」と固く誓った。【藤塚大輔】