マラソン初挑戦の平林清澄(きよと、国学院大3年)が、日本歴代7位の2時間6分18秒で優勝した。

168センチで44キロの「軽量ボディ」を生かした走りで残り10キロ付近でペースアップ。先行するパリ五輪代表内定者の小山直城(Honda)を抜き、日本学生記録(2時間7分47秒)と初マラソン日本記録(2時間6分45秒)を上回った。なお日本陸連が定めたパリ五輪代表選考設定記録2時間5分50秒を破る選手は出なかった。選考対象大会は3月3日の東京マラソンが最後となる。

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後ろを振り返って2位との差を確認した平林は、最後の直線で右胸にある「国学院大学」の文字を指し示した。32キロ付近で仲間へのガッツポーズを合図に飛び出してから、約10キロ逃げ切っての優勝。「よっしゃー!」と雄たけびを上げて喜びを表し、満面の笑みで前田康弘監督(46)の胸に飛び込んだ。

過去箱根駅伝に3度出場したチームのエース。今年1月の第100回大会でエースぞろいの「花の2区」を走り8人抜きを演じるなど駅伝で注目を浴びてきたが、その裏でマラソン挑戦に向けて準備をしていた。

「大学入ってすぐは箱根が大きな目標だったけど、マラソンで勝負したいと強く思うようになった」。その素質を見抜いていた前田監督からも「世界もいける」と後押しを受け、昨夏から本格的に練習を始めた。同8月には月間1200キロ走るなど、土台をつくってきた。

駅伝シーズンを終えた今年1月中旬に宮古島で10日間のマラソン合宿を行い、帰京後は単独走を想定した1人での走行練習を繰り返した。その対策が吉と出て、先頭でも自分のリズムを刻み続けることができた。

果敢に42キロへ挑む21歳に情熱を傾けてきた指揮官は、強みを168センチ、44キロの「軽量ボディ」と言う。普通の2倍の食事を取っても脂肪がつかない、太りにくいタイプ。世界歴代トップ10を独占するアフリカ人選手の体形に近く「あれだけ細い子は日本人でなかなかいない。軽い走りは彼の武器」と絶賛。華々しいデビューを飾った教え子をシンデレラボーイならぬ「シンデレラ坊や」とうれしそうに命名し、目を細めた。

今年4月に4年生に進級。主将としてチームを引っ張る立場となるが、駅伝とマラソンの二刀流を貫く構えだ。「国学院大学から世界で戦えるランナーを作りたい。自分がその先駆けになれるように目指していきたい」。25年世界陸上東京大会やその先の28年ロサンゼルス五輪を狙っていく。【竹本穂乃加】

 

平林清澄(ひらばやし・きよと)

◆生まれ 2002年(平14)12月4日、福井・越前市出身。

◆経歴 福井・武生第五中から美方高校を経て、国学院大経済学部に進学。

◆競技歴 高校1年で本格的に陸上を始めた。

◆スポーツ歴 小学生時代は陸上短距離。中学ではバドミントン部に所属。

◆高校時代の主な成績 1年時に全国高校駅伝3区36位。2年時に1区22位。

◆大学入学後の主な成績 22年日本学生ハーフ優勝。昨年全日本大学駅伝7区区間賞。

◆自己記録 1万メートル27分55秒15、昨年7月に更新。ハーフ1時間1分50秒

◆好きな食べ物 油そば

◆リフレッシュ方法 寮の近くの油そば屋に行くこと。

◆シューズ アディダス社製を使用。

◆サイズ 168センチ、44キロ。

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