来年2025年に陸上の世界選手権(9月13~21日)とデフリンピック(11月15~26日)が開催される。25日には東京・葛飾区の葛飾ろう学校で、認知拡大を兼ねた「TOKYO FORWARD 2025 アスリート交流イベント for KIDS」が開かれた。

陸上男子400メートル障害の黒川和樹、08年北京五輪400メートルリレー銀メダルの朝原宣治さん、デフ陸上女子の岡田海緒(みお)、東京デフリンピック応援アンバサダーの川俣郁美さんが登場。小学生28人(ろう者は13人)と手話で交流したり、リレー形式のかけっこをしたりした。

会の最後には質疑応答の時間もあった。「どういう習慣をつければ速く走ることができますか?」という質問に対し、朝原さんは「たくさん運動をして、たくさん食べて、たくさん寝てください。トップの五輪選手も練習をして、栄養をとるのが基本となっています」と回答。黒川も「僕も食べて寝るです。僕は昼寝をしていたので身長が伸びました。寝る子は育つというのは本当にその通りだと思います」と声をそろえた。

「自分に合っている競技をどのように見つけていけばいいですか?」との質問もあった。朝原さんは「僕は中学時代にハンドボールをやっていました。その後はちょっとだけサッカーをして、陸上を始めました。一番大事なのは好きか嫌いか。僕は走ることが好きでした。今でも好きです」と実体験をもとに助言し、黒川は「いろいろな種目をして、自分が合う種目、好きだと思う種目を選んでみては」とアドバイス。岡田は「小さい頃からいろいろなスポーツをやってきました。高校から陸上を始めましたが、中でも走ることが一番好きでした。その結果、今でも続けています」と答えた。

会の終了後には写真撮影やサインの列もできていた。

〈参加したゲストのコメント〉

◆黒川「身ぶりだったり、ジェスチャーだったり、どう伝えるのがよいのかを考えることがすごく楽しかったです。昨年のかごしま国体の100メートルを現地で見た時には、聴覚障害のある佐々木琢磨選手がいらっしゃって、スタート時にはランプで知らせる仕組みが導入されていました。みんなが平等にスポーツができる社会になればいいなと思いました」

◆朝原さん「初めて耳が聞こえない選手の指導をしました。どうすればいいのか、ちょっと不安な思いもありましたが、耳が聞こえない子が積極的に思いを伝えようとしている姿がありました。耳が聞こえる子も受け取ろうとしていて、一緒に楽しくリレーもできました。スポーツはこうした場面でも有効だと感じました。デフリンピックの知名度はまだまだだと感じるので、この大会を機に学んでいけたらと思います」

◆岡田「聞こえる人、聞こえない人の関わりは、とても良い機会だと感じました。一緒に活動していく中で壁を取り除いて、通じ合おうとする喜びを感じる時間となったのではないかと思います。その経験をこれからの人生につなげてほしいなと思います」

◆川俣さん「聞こえる人、聞こえない人に関係なく、話したい、一緒にリレーを楽しみたいと思う気持ち。その気持ちが盛り上がると、頑張れたり、通じ合えたりすると思います。今日はリレーで楽しむ場面もありました。同じ目標があれば、通じ合えるような方法も見つけやすいのではないかなと思います」