スポーツブランド「ASICS」は28日、都内で新レーシングシューズ発表会を開き、7月開幕のパリ五輪をターゲットにしたトップアスリート向けの新兵器をお披露目した。

「METASPEED PARIS SERIES」と名付けられた新作は、19年に発売を開始したシリーズの最新モデルとなる。厚底ブームが席巻するシューズ市場で劣勢だった同社が、社長直轄の新プロジェクトを開始し、巻き返しに乗りだしたのが19年。国内外で徐々に支持者を増やしてきた。

「シューズがアスリートのスタイルに合わせる」とコンセプトに、ストライド走法型、ピッチ走法型の2種類の製品を開発したのが特徴だった。今回も前者型の「METASPEED SKY PARIS」、後者型の「METASPEED EDGE PARIS」となり、各2万7500円(税込み)で3月から一般販売される。

より軽量化したカーボンプレートをミッドソール内部に搭載。約8%軽く、反発性は約8・2%、クッション性を約6%向上させた。着地後に素早く元の形状に戻ることで。跳ね返るような感覚が得られ、ストライドの伸びが可能になった。足の動きを安定させ、より効果的に身体を前方向に推進させる。「SKY」で20グラム、「EDGE」で25グラムの軽量化に成功した。

会にはオンラインの国内長距離界トップランナーの太田兄弟がオンラインで出演。合宿中の北米から出演した兄智樹(トヨタ自動車)は「以前より、反発は感じる」、奄美大島で実際に試走した弟直希(ヤクルト)は「勝負どころでのスピードが出しやすい」と好感触を説いた。

また、部で同社と契約する早稲田大学競走部の選手が登壇。年始の箱根駅伝では10人中6人がプロトタイプを履いて走った。初マラソンとなった2月の延岡西日本マラソンで、サブテン(2時間10分切り)の最年少記録(2時間9分26秒)で制した伊福陽太(3年=21)は「8区は後半にかなりきつい上り坂あって、その後が勝負。そこまでしっかり足持ちがしました」、10区で区間5位の菅野雄太(3年)は「前作と比べて反発性を感じている。体重の移動のしやすさもある。後半にも動きが崩れない」、5区で区間5位の工藤慎作(1年)は「他の区間と比べて特殊区間。その中でも最後の数キロの下り区間まで足を持たせることができた」と語った。