陸上男子の川内優輝(36=あいおいニッセイ同和損保)がフルマラソン134回完走の経験を生かし、パリオリンピック(五輪)に備える。

2月29日、GPS/GNSS機器メーカー「Garmin」のアンバサダーに就任し、東京・江東区の東京ビッグサイトでトークショーに登場。補欠の可能性がある今夏の五輪へ「いつも通り、レースで調子を合わせていく」と独自の調整プランを明かした。

パリ五輪の男子マラソン代表は3枠。すでに昨年10月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)1位の小山直城(ホンダ)、同2位の赤崎暁(九電工)が代表に内定している。残り1枠については、今月3日の東京マラソンで2時間5分50秒を突破し、日本人最上位となった選手に与えられる。同タイムを上回る選手がいなければ、MGC3位の大迫傑が内定し、同4位の川内が補欠に選出される。

パリの舞台へ「準備はしっかりしていきたい」と見据える。調整のモデルとするのは、7年前の自分自身。マラソンは体に負荷がかかるため、年間で2~3レース程度とする選手が多い中、17年シーズンは4月の大邱国際マラソン(韓国)を皮切りに1カ月に1回のペースでフルマラソンへ臨んだ。5月にプラハマラソン(チェコ)、6月にストックホルムマラソン(スウェーデン)、7月にゴールドコーストマラソン(オーストラリア)に出場した。異例の方法で状態を仕上げ、8月の世界選手権ロンドン大会では日本勢最高の9位と健闘した。

その経験に基づき、今季は5月のバンクーバーマラソン(カナダ)、7月のゴールドコーストマラソンに出場予定。「今回も同じ。それだけにゴールドコーストは外せないですね。あそこで走ることができないと、世界では戦えない」と土台を固めていく。

35キロまで独走したMGC後には「まだ引退していなかったんだ」と声もかけられた。内心では「いやぁ、他にもレースに出ていたんだけど…」と思ったが、同時に「それだけインパクトがあった。まだまだ世界で戦わないと」と気も引き締まった。

今月5日に37歳となるベテランは、最善の準備に努めていく。【藤塚大輔】