陸上男子短距離の多田修平(27=住友電工)が、7位となった世界室内選手権を悔やんだ。

5日、世界室内選手権が行われた英グラスゴーから羽田空港に帰国。60メートルに出場した今大会は、予選で6秒52の日本新記録を樹立し、決勝も走り切ったが「ファイナルに残れたことは素直にうれしいが、世界とちゃんと戦えなかったことが悔しい。悔しい思いのほうが強い」と振り返った。

決勝直前に軽度の肉離れを発症。足がつった状態でのレースとなり、6秒70となった。「足が限界で勝負ができなかった。予選と準決勝を走ってみて、後半や本番の強さに差があると感じた。筋力不足や1歩1歩の力のなさを感じた」と課題が見つかった。

一方で成長もあった。決勝は100メートルで世界歴代6位タイの自己記録を持つクリスチャン・コールマン(米国)や、昨夏の世界選手権で100メートル&200メートル2冠のノア・ライルズ(米国)らと出場。「昔の僕だったら緊張していた」というが、今回は自分に集中できた実感もあった。レース後も「どこが良かったのか、どこが悪かったのかを冷静に分析できるようになった」と進歩を感じ取った。

2大会連続の五輪代表入りには、参加資格を満たした上で6月の日本選手権で好成績を残すか、世界ランキングで上位に入る必要がある。次戦は4月以降のグランプリ(GP)シリーズを候補としており「最初の目標は9秒台を出して、参加標準記録(10秒00)を突破すること」と宣言。さらに大きな目標も口にした。

「日本選手権で優勝して、五輪の代表権を獲得すること。その上で五輪のファイナルではライルズ選手やコールマン選手と争える走りをしたい」

世界舞台での悔しさを、パリ五輪シーズンをつなげていく。【藤塚大輔】