東京五輪のマラソン日本代表・服部勇馬(30=トヨタ自動車、十日町市出身)が地元のロードを駆け抜けた。ゲスト選手として初参加。未調整で臨んだだけに、市民ランナーと声を掛け合いながら走りを楽しんだ。記録は1時間12分57秒の71位。デンカSは中里中3年以来で、故郷新潟から4年後のロス五輪に視線を向けた。

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視線を下に向けて、服部は淡々とフィニッシュした。雨が降りしきる悪コンディション。しかも、3日に東京マラソンを終えたばかり。蓄積した疲労が取れない状態で臨むレースで、決めていたテーマは「楽しく走る」。沿道から名前を呼ばれると、その声に向かって手を振った。子供たちの声援にも応えた。3割から4割の力を使ってのジョギング。「田園風景の中で走るのは、故郷を走ること」と、フラットなコースを気持ち良く走り抜けた。

東京五輪のマラソン日本代表。2大会連続の五輪出場を狙っていたが、パリには届かなかった。しかし、30歳は落ち込んでいなければ、フィジカルも衰えてはいない。ターゲットは4年後。28年ロス五輪に狙いを定めていた。「4年後を見据えるのは難しいが、28年まではやりたい。自分の可能性と、やってきた道を信じて、これからも走っていきたい」。五輪狙いの宣言だった。

その第1歩を、地元新潟で踏み出した。沿道の応援は服部の思いを後押しした。「この地でスタート。楽しく走れたのがよかった」。パワーを地元で充電した服部はロス五輪へ、ポジティブに挑む。【涌井幹雄】

 

○…東京マラソンで日本人4位に入った横田俊吾(23=JR東日本、五泉市出身)は1時間14分17秒の89位だった。ゲスト選手に招かれたのは2年連続。「東京マラソンまでは結果を残せず、ヤバいなと思っていたけれど、実績を残せたので安心して臨める」と言いながら雨のロードを満喫した。「また呼ばれるような活躍をして、もどってきたい」と横田は3年連続のレース招待を狙っていた。