陸上の世界選手権東京大会が13日、国立競技場で開幕する。女子800メートルで17歳の久保凛(東大阪大敬愛高3年)がインタビューに応じ、自身が保持する日本記録(1分59秒52)更新と日本勢初の決勝進出を目標に掲げた。同種目で日本人が決勝に進めば、五輪を含めた世界大会では1928年アムステルダム五輪銀メダルの人見絹枝以来2人目。練習で身に着けた1人でやり切る力を発揮し、自国の大舞台で快挙に挑む。

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久保が、ついに世界へ飛び出す。女子800メートルで日本人が決勝へ進めば、世界大会では97年ぶり。世界選手権に限れば予選突破でも日本勢初となるが、視線はもっと上を見ている。「自己ベストが第一目標。ファイナル(決勝)に残って、メダルを狙えるように頑張りたい」と力強く誓った。

高1で2分6秒05だった自己ベストは、2連覇した今年7月の日本選手権で1分59秒52まで縮めた。6秒以上短縮できた要因の1つが、1人でやり切る力。練習メニューの大半は単独走や個人ジョグとなるが「周りに人がいた方が走れる選手もいると思うけれど、1人の場合は自分でペースを考えて走ることができる」と前向きに捉える。指導する野口雅嗣監督は「設定タイムを切れなくても、次の練習でクリアしてくる。強い心を持っている」と証言。飛躍の裏には、黙々と打ち込む姿勢がある。

試合前も、自分のリズムを大切にする。高校入学後は3段階に分けたウオーミングアップを取り入れているが、2段階目の50メートル走後は30分睡眠。「何もかも忘れて落ち着かせる」と中学時代からのルーティンを続けている。レース2時間前に起床すると、走りの動き作りや軽めの流しで最終調整。この流れも中学から変わらず「自分は自由にやれる方が良い」とうなずく。

24年パリ五輪の準決勝突破ラインは1分58秒06。久保が決勝進出するには自己ベストの大幅更新が求められる中「自分のリズムと走りを貫いて悔いなくレースをしたい」と力を込めた。今大会の日本代表では女子最年少となる高校3年生が、歴史を塗り替える夏にする。【藤塚大輔】

◆久保凛(くぼ・りん)2008年(平20)1月20日生まれ、和歌山・有田川町出身。小1でサッカーを始め、串本JFCでプレー。潮岬中から陸上開始。中3時の22年全国中学校体育大会800メートル優勝。23年に東大阪大敬愛高に進学し、同年から全国高校総体3連覇。24年から日本選手権2連覇。サッカー日本代表MF久保建英はいとこ。憧れの選手は田中希実。リラックス法は愛犬「ふうた」と遊ぶこと。身長167センチ。

◆人見絹枝の銀メダルVTR 日本女子初の五輪選手として、1928年アムステルダム大会に出場した。得意の100メートルに絞って出場したが、準決勝敗退。その悔しさから、急きょ800メートルに出場。全競技を通じて日本女子の五輪初メダルとなる「銀」を獲得した。肺炎のため、31年に24歳7カ月の若さで死去した。その後、日本人は4人が世界大会女子800メートルに出場したが、いずれも予選敗退となっている。なお陸上女子の一般種目でのメダルは、24年パリ五輪やり投げ北口榛花の金メダルが96年ぶり2個目だった。