新型コロナが再び猛威をふるい、スポーツ界への影響もでてきた。

サッカーの高校選手権では勝ち上がった関東第一(東京)に感染者が出て、準決勝を辞退。高校生たちにとって大きな目標でもある「聖地」国立競技場での試合を前に、衝撃は大きかった。

ラグビーでは新たなプロリーグ「リーグワン」の開幕戦が中止になった。W杯で注目された日本ラグビーのさらなる発展に期待されていたが、いきなり出鼻をくじかれた感じ。今後の盛り上がりにも暗い影を落とした。

さらに不安になるのが、2月4日の開幕まで1カ月を切った北京オリンピック(五輪)への影響だ。オミクロン株の拡大は世界的に深刻。「ゼロ・コロナ」を目指して厳しい行動制限を行う中国で、はたしてどんな大会が行われるのか。選手は競技に集中できるのか、あまりにタイミングが悪い感染拡大に、心配は尽きない。

年末から年始にかけて、有力競技の代表選手も次々と決まっている。海外の試合での日本選手の活躍も話題になる。東京五輪・パラリンピックから半年後に行われる大会に、日本人の注目度も高い。

日本選手の成績も、これまで以上に期待される。羽生結弦が3連覇を目指すフィギュアスケートに、小平奈緒、高木美帆が連覇に挑むスピードスケート、男子の小林陵侑、女子の高梨沙羅に金メダルの期待がかかるスキージャンプ、楽しみな選手は多い。

フリースタイルスキーのモーグルやスノーボードなどもメダル有力。モーグル男子は堀島行真、女子は川村あんりがともにW杯ランキングで首位。昨季世界王者の戸塚優斗が金メダルを狙うスノーボード男子ハーフパイプでは、東京五輪スケートボードにも出場した「二刀流」平野歩夢が3大会連続メダルを狙う。

かつての冬季五輪では、日本勢が活躍する競技も限られていた。日本は過去21大会に参加しているが、メダル0が8回。1個だけが5回。1972年札幌、98年長野の地元大会では複数のメダルを獲得したが、それ以外は苦戦続きだった。

種目数が増えたこともあって前回の平昌大会では過去最多13個を手にした。北京大会では、それを上回るメダル数が期待される。注目競技が多いだけに、テレビから目が離せない日が続きそうだ。

しかし、そんな大会を前にしての新型コロナの爆発的な感染拡大。冬季競技には夏季と違って素肌が触れ合う「濃厚接触競技」はないし、徹底したバブル対策もとられるはず。それでも感染者が出れば、選手に影響するのは間違いない。

住宅の入り口を溶接してまで出入りを禁じる中国だから、徹底した行動制限もあるはず。選手たちの精神面も心配になる。IOCのバッハ会長は「大会に支障はない」というが、彼の発言は逆に不安をあおる。

昨年の東京大会、日本選手だけでなく世界中の選手が新型コロナに振り回された。北京も同じだ。新株は重症化しにくいとはいえ、感染すれば出場はできなくなる。濃厚接触者になっても同様だ。4年間の努力が水泡に帰す。

感染だけでなく、行動制限も心配。世界各国で対応がばらつき、意識も違う。中国の徹底した厳しさに平常心を失わず、競技に集中できるか。あと1カ月、北京五輪では感染症とも戦わなくてはならない。【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIのOh! Olympic」)