2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が13日、神宮球場(東京都新宿区)の借用期間について関係団体に謝罪し、大幅に期間を短縮することで基本合意した。都内で同球場を所有する明治神宮外苑、ヤクルト球団ら関係4団体と2度目の協議を行い、新たな短縮案を提示。当初は大会前後の同年5月から11月まで7カ月間の借用を求めていたが、関係団体の要望を受け同年7月1日から9月20日までに修正。野球場としての形態を変えずに使用することも約束した。

 東京五輪期間中の「神宮問題」は、組織委の大幅譲歩により着地点が見つかった。管理者の明治神宮外苑、同球場を使用するヤクルト、東京6大学連盟、東都大学連盟、東京都高野連と行った2度目の協議は約40分間行われた。組織委の佐藤広副事務総長は「神宮球場が、野球の聖地という歴史を刻んできたことに対し、配慮が十分でなかったという反省があった。いろいろなご批判を受け、どう工夫できるか検討し7月1日から9月20日ごろまでお借りしたいと申し上げた」と関係団体に謝罪したことを明かし、大幅な期間短縮の代替案を申し出た。

 4月に行われた協議では、20年5月から約7カ月間の借用を要望した。しかし球界からの反発が強く、人工芝をはがしてプレハブ小屋を建築するという使用用途についても反対された。佐藤副事務総長は新たな使用目的については「VIP用の対応スペースと考えています。仮設物を作る工事は一切なく、人工芝をはがすようなことはしません」と明言。東京五輪、パラリンピックの開会、閉会式で「VIP専用駐車場」として使用される見通しだ。

 これにより、プレハブ小屋は神宮第2球場と、五輪前に1度解体される予定の秩父宮ラグビー場のスペースを利用し、短縮につなげる。また関係4団体からは、協力態勢を敷く上でさらなる借用期間短縮の要望を受けた。「いろいろな試合の経過から、もう少し前後の期間を短くできないかというお話をいただきました」と話した。主にヤクルトと高校野球の事情を考慮し、さらに前後5日間の短縮を検討課題とした。

 借用期間については一定の理解を得たが、細部についてはまだクリアすべき点が多い。今後は、代替球場や補償などについて、詰めていくことになる。