テニスの今季4大大会最終戦全米オープン(ニューヨーク)が28日に開幕する。日本のエース、錦織圭(27)は右手首のケガで欠場するが、日本男子では世界43位の杉田祐一(28=三菱電機)、同女子では同45位の大坂なおみ(19=日清食品)らに期待がかかる。今大会の見どころを3回に分けて掲載する。第1回は杉田だ。

 杉田が、最初に4大大会の予選に挑戦したのが、09年全米だった。それ以来、14年ウィンブルドンで本戦をつかみ取るまで、4大大会予選に挑み続けること18回。その多さに、当時、海外メディアでも話題になった。その苦労人が、今年、一気に花を開かせた。

 錦織以外でも、杉田より4歳年上の添田豪が12年7月に、自己最高の47位にまで浮上。杉田と同期の伊藤竜馬も11年全米で、早々と4大大会本戦に出場した。後輩の守屋宏紀も12年全米で予選突破。杉田は完全に、1人、置いていかれる形となった。

 4大大会の予選を突破するのに時間がかかった以上に、トップ100の壁は厚かった。4大大会の予選は初挑戦から5年目で突破した。しかし、05年10月に1528位で初登場した世界ランクが、初めてトップ100入りしたのは16年2月。10年と半月を要した。

 飛躍の要因は、「大人になった」からだという。杉田は、錦織が「仙人」と称するほど自分の中に確固たるポリシーがある。若い時は、コーチの言葉でも、わが道に反するものなら、決して耳を貸さなかった。しかし、年を重ね、聞く耳を持つようになったのが「大人になった」ということらしい。

 それでも、これと決めたものは、今でも曲げない。意志の強さに、人のアドバイスも聞く柔軟性が加わり、今季の杉田ができあがったようだ。全米の1回戦は、大会推薦で19歳のフランス選手が相手。深い経験と、今季、ツアー優勝を飾った自信で、全米初の本戦出場で初勝利につなげる。

 WOWOW放送 28日(月)~9月11日(月) 連日生中継。第1日無料放送。