女子シングルスでリオ五輪銅メダルの奥原希望(22=日本ユニシス)はサイナ・ネワル(インド)に2-1で勝ち、同種目の日本勢で初めて決勝へ進んだ。1977年の第1回大会で女子ダブルスを制した栂野尾悦子、植野恵美子組以来40年ぶりに銀メダル以上を確定させた。

 157センチの小さな体には、底知れぬ忍耐力と根性が詰まっている。過去1勝6敗と分が悪かった12年ロンドン五輪銅メダリストのネワルに、奥原はしぶといラリーで対抗した。「絶対にここで終わらない」と1時間を超える接戦で逆転勝ち。同種目で日本勢初の決勝進出の快挙を成し遂げ、両手を突き上げた。

 勝因は心と戦略の両面にあった。銅メダルに輝いたリオ五輪では準々決勝で山口(再春館製薬所)に逆転勝ちしながら、準決勝はストレート負け。「その悔しさがモチベーションにつながった」と明かす。今大会は五輪女王のマリン(スペイン)を倒してメダルを確定させても、集中力は途切れなかった。

 対応力も光った。第1ゲームを12-21で落とすと、強打の相手に異なる高さとスピードのショットを試しながら打開策を模索。第2ゲームから高低差と緩急をつけたショットで揺さぶり、相手を根負けさせた。

 リオ五輪後に右肩を痛め、昨年末の全日本総合選手権では涙の途中棄権。実戦復帰は3月で、完全復活へ道半ばながら大舞台で勝負強さを発揮した。「決勝もきつい試合になると思うが、強い気持ちと覚悟を持つ」。得意の我慢勝負を貫き、全種目を通じて40年ぶりの世界一に突き進む。