マエケン先輩、僕も大舞台を目指します-。14年NHK杯覇者で、右足甲のけがから復活した村上大介(26=陽進堂)が、フリー147・99点、合計230・16点で優勝し、2年ぶりの全日本選手権出場を決めた。力になったのは、顔が似ていることから意気投合したドジャース前田健太投手(29)の言葉。ワールドシリーズで活躍する先輩に刺激を受け、初の五輪出場へ1歩近づいた。

 村上の表情には充実感がにじんでいた。冒頭では、1カ月前の前戦オータム・クラシックで失敗していた4回転サルコーを成功。昨年右足甲を痛めて棄権した「悪い思い出」の大会を制し、「無事に終わり、すごくうれしい」。ショートプログラム(SP)に続き、フリーも1位。これで平昌五輪出場がかかる全日本選手権の切符を手にした。

 復帰過程で励ましてくれたのは、よく似た顔で同じく米ロサンゼルスを拠点とするドジャースのマエケンだった。初対面は昨年5月。顔を見合わせ、あまりのそっくり具合に「あー、なるほど」と笑い合った。今年に入って食事をしたり、LINEで頻繁に連絡を取る仲になった。その中で緊張に打ち勝つ方法など助言をもらった。「いい先輩。内容は漏らしたくないですが、インパクトのある言葉をもらっている。本当にありがたい。感謝しています」。今大会中は前田もメジャーリーグのワールドシリーズを戦っており、メッセージで励まし合った。

 大一番の全日本選手権は12月末。その前に来月10日からのNHK杯を控える。「そこでもっとレベルアップできるように」。この日のうちにロサンゼルスへ戻るため、急いで会場を去っていった。【高場泉穂】

 ◆村上大介(むらかみ・だいすけ)1991年(平3)1月15日、神奈川県生まれ。9歳で家族と米国へ移住。10歳からスケートを始める。拠点はロサンゼルス。07-08年シーズンから日本スケート連盟所属。14年GPNHK杯優勝。15年GPファイナル6位。好きな言葉はハッピー。165センチ。