渡部暁斗(29=北野建設)が、今季初勝利を挙げ、通算10勝目に到達した。

 後続に31秒差をつけスタジアムに戻ってくると最後は右手を掲げてフィニッシュ。今年3月以来の勝利を挙げ、来年2月の平昌(ピョンチャン)五輪へ確かな手応えを伝えた。

 不安定な風が吹いた前日24日の開幕戦(3位)とは違い、風が安定した穏やかな条件の中、前半ジャンプ(ヒルサイズ=HS142メートル)で助走路から力強く飛び出した。ふわりと浮いて142・5メートルで着地。「良いジャンプだった」と納得の大ジャンプで首位に立った。

 2位に16秒差をつけてスタートした後半距離(10キロ)。「追いつかれることも想定」しながら自分のペースを刻む。中盤から8人になった第2集団がけん制し合っている隙に後続との差を徐々に広げ、最後まで1人旅を決め込んだ。「いろんなことがかみ合ってくれた。こういうレースができればいいですね」と納得した。

 まだ2戦を終えただけとはいえ、26日の個人第3戦は、個人総合トップの選手だけが着る「イエロービブ」を初めて身にまとい出場する。「1つ壁を乗り越えたかな。途中で失っても最後は着ていられるようにしたい」と力を込める。悲願の金メダル、さらに目指す個人総合王者に向けて、飽くなき挑戦を続けていく。