崖っぷちのスキー人生から五輪へ! 無名の石川晴菜(23=木島病院)が1回目に55秒58でトップに立つと、2回目も2位にまとめ、合計1分50秒99で初優勝。18年平昌五輪代表に大きく前進した。一時は資金難から募金活動を行うなどの苦難を乗り越え、大本命の安藤麻(21)長谷川絵美(31)を抑えて栄冠を手にした。

 ゴールエリアの白銀を背に163センチ、59キロの体が震えていた。石川は2回目でゴールに飛び込み、電光掲示板を振り返った。約1秒後、トップに自分の背番を確認すると、雪上でそのまま泣き崩れた。「最高です。ものすごいうれしくて…」。

 15-16年シーズンに強化指定を外された。12年全国高校スキーで2冠を達成したが、北海道・北照高を卒業後、2年後輩の安藤麻が台頭。W杯転戦でも安藤の躍進を横目に成績が出ず悔し泣きばかりだった。「苦しい時期ばかりだった」と振り返った。地元石川県スキー連盟の協力で「崖っぷち募金」と題した募金活動を2季前に開始。その活動報告も兼ねた「崖っぷち新聞」を発行し、何とかスキーを続けた。現在の所属である木島病院が16年4月に手をさしのべなかったら、「競技は諦めていた」(母小百合さん)。まさに崖っぷちから五輪のひのき舞台に躍り出た。【吉松忠弘】

 ◆石川晴菜 いしかわ・はるな。1994年(平6)7月20日、金沢市生まれ。姉の影響でスキーを始め、10年全国中学スキー回転優勝。12年全国高校スキーで回転、大回転の2冠。16年国体大回転優勝。同年全日本では回転で2位に入った。163センチ、59キロ。