昨年の柔道世界選手権男子66キロ級王者の阿部一二三(20=日体大)が初の海外武者修行に出た。10日、オーストリアとドイツでの約3週間の単身合宿のため羽田空港から出発した。

 昨年の世界選手権と同12月のグランドスラム(GS)東京大会を制したことで、今年9月の世界選手権(アゼルバイジャン)の代表権を獲得しており、井上康生監督らと相談した上で強化プランとして海外修行を決めた。

 阿部は「1つの挑戦としてやってみたかった。不安もあるけど楽しみの方が大きい。柔道だけでなく、国の文化や日本との違いなどをしっかりと肌で感じたい」と胸を膨らませた。

 オーストリア合宿には欧州の強豪選手ら600人が参加予定。「世界王者として絶対に負けられない。隙も見せてはいけないし、王者らしく海外選手と練習して情報を吸収したい」。

 あえて、ガイド本なども購入せず“真っ白”な状態で挑むのも阿部流。荷物もこれまでの海外遠征と同じぐらいで「消毒液を用意した程度」とその時の感覚や経験などを大切にする。「何かあれば携帯で調べれば良い。柔道はもちろん、人としても成長出来れば」と充実感に満ちた表情で機上の人となった。