年齢は関係ない、男子200メートル平泳ぎの28歳入江陵介(イトマン東進)が、1分55秒12で銀メダルを獲得した。ここ3年間、個人で国際主要大会のメダルはなかったが、男子100メートル背泳ぎに続く表彰台となった。16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)後、米国に拠点を移し、変化を追求。一般的に見ればベテランの域に入るが、4度目の五輪となる20年東京へ向け、足掛かりをつかんだ。

 

■東京オリンピックは30歳

 高らかに宣言した言葉に生き様が凝縮されていた。レース後のインタビュー。入江は「東京オリンピックは30歳。年なんて関係ない。バリバリ頑張ります。壁にぶち当たることも多いけど、それをつぶしていかないと新しい自分は見つけられない」。実感がこもっていた。

 100メートルの折り返しは4番手の56秒29。そこから大きな泳ぎで順位を上げた。フィニッシュし、電光掲示板を確認すると、リオ五輪金メダルで優勝したライアン・マーフィー(米国)と握手で健闘をたたえ合った。「欲を言えば、54秒台が欲しかった」。銀メダルだけでなく「欲」を求めることが充実の証明だった。

 リオ五輪の後から米ノースカロライナ州に拠点を置いた。その練習場には女子100メートル背泳ぎで7月に世界新記録58秒10を樹立したキャスリン・ベーカー(米国)がいる。世界のトップが日常。大会前もチームスタッフからは「ほとんどの時間をベーカーと一緒にやったのだからお前もできる」とメールをもらい、発奮した。日本よりも身の回りのことも自らやるようになった。「いろんなことを吸収した。自分で自分のマネジメントするところは成長した部分」と言う。

 6月には3週間、標高約1900メートルの米コロラド州で高地トレーニングを敢行。五輪金23個のマイケル・フェルプス氏(米国)を指導したボブ・ボウマン・コーチの練習メニューに参加した。国内にいただけでは味わえない刺激を受け続け、向上心を維持する。

 東京五輪の切符をつかめば、4大会連続の五輪。レジェント北島康介、松田丈志と肩を並べる快挙だ。このままいけば、東京では新種目の混合400メートルメドレーリレーでも起用が有力視される。

 リオ五輪の男子200メートル背泳ぎで8位と沈んだ後は「選手としては賞味期限切れかな」と口にした。その言葉とは別人のような今がある。【上田悠太】