体操女子日本代表候補で2016年リオデジャネイロ五輪に団体戦4位の宮川紗江(18=レインボー)が21日、暴力行為による無期限の登録抹消と味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)での活動禁止処分を日本体操協会から科せられた速見佑斗コーチ(34)について、「パワハラされたと感じていません」と直筆文書を発表した。

 宮川は代理人弁護士を通じて、「私は8年間、速水コーチと共にオリンピック金メダルを目標に毎日、家族のサポートを受けながら信頼してコーチと頑張ってきました。金メダルという目標は速水コーチとだからで、他のコーチとでは私の望む事ではないし、意味がありません。暴力は良くないことだとはわかっていますが、私は速水コーチに対して、パワハラされたと感じていませんし、今回のことも訴えたりしていません。家族も同じです。報道の内容には真実ではない行き過ぎた内容もあり、私は不安と怒りで自分を保つのがやっとの状態です」と弁護した。

 代理人弁護士との連名で報道機関に送付した文書には「被害者とされている宮川選手は協会に対し暴力被害を訴えておりません」「怪我や傷を負ったことはありません」などとしており、同コーチの無期限の登録抹消という処分を不服として、8月20日に東京地方裁判所に仮処分の申し立てを行ったと報告している。

 また、今回の性急な処分執行プロセスには「不自然さ」があり、「第三者による何らかの意図が働いていたと推認せざるを得ません」としている。宮川自身は突然の同コーチの懲戒処分にショックを受けており、体操はおろか日常生活も普段通り過ごせない状況にあるという。

 今回の件は、速水コーチの暴力行為を複数人が目撃し、報告を受けた日本体操協会が調査に着手。速水コーチ本人に聞き取りしたところ認めたため、今月13日付で無期限の登録抹消処分に至ったもの。代表候補である宮川に対する指導、練習場所の提供は日本協会の女子強化本部が支援することになっている。