瀬戸は勝つだけならもっと余裕を持って泳げたと思うが、東京五輪では4分5秒台を出さなければ優勝できないと想定したレースだったと思う。

序盤から積極的に前に出て200メートルで2分を切り「常に2分を切れるぞ」という状態を作った。最後こそ失速したが、強化は着々と実を結んでいる。日本人選手の中でも背が低い方だが、どのテンポでも泳げる体力が強み。彼はまだまだ進化している。

女子の大橋は200メートル個人メドレーから、気持ちも泳ぎもよくここまで立て直した。もし駄目だったら負の経験になる紙一重の経験をし、東京五輪で活躍できる資質も見せた。しかし日本全体で見ると、世界に後れを取ったのは間違いない。世界は若手を中心に勢いを増してきたが、日本は出てこなかった。ただ、日本には同じ練習をして結果を出した瀬戸がいる。彼の活躍をプラスにして、東京五輪で悔しい思いをしないようにしてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)