全国初陣は男女ともに高い壁にはね返された。男子で北海道王者の駒大苫小牧は6年連続14度目出場の前橋育英(群馬)に78-82で振り切られた。1点リードで迎えた第4クオーター(Q)に逆転を許し、あと1歩のところで全国初勝利を逃した。

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つかみかけていた全国1勝は最後の10分間で霧散した。試合終了を告げるブザーに駒大苫小牧の選手たちはコートでがっくりと両膝を落とした。藤岡大翔主将(3年)は「全国大会の会場の雰囲気にのみ込まれてしまった。自分たちは粘り強く戦うことができなかった」。4点差での惜敗に、うなだれるしかなかった。

1点リードで迎えた第4Q。開始直後に逆転を許すも、その後に3度勝ち越す粘りを見せた。だが、残り5分4秒でビハインドを負うと、最後まで取り返せなかった。「競った試合で粘り強くディフェンス、リバウンド、オフェンスをすることを練習から意識しないといけない」。藤岡は全国舞台で勝つために必要な課題を挙げた。

就任19年目で全国初陣の田島範人監督(45)が「前半は上手くいっていた」と語るように、第1Qは相手を9点に抑え、10点差でスタート。昨年3月に右手首、11月に右足小指の骨折で1年を棒に振った星健太朗(3年)が「悔しい気持ちを晴らす」決意で臨みチーム最多の23得点を挙げた。その星を中心に攻撃を展開し、主導権をつかんでいた。だからこそ「敗因の1つ」(同監督)となったのがフリースローだ。相手が38本中26本を沈めたのに対し、駒大苫小牧は40本中19本。仮に相手と同じ確率で決めていたら、後半の試合運びも違っていた。

過去5度2位に終わった道予選を突破して臨んだ初の全国。歴史を築いた事実は変わらない。それでも試合を終えて取材に応じた選手は一様に反省の弁を並べた。2年で唯一出場した倉井啓至に加え、9得点のセネガル人留学生ティオウネ・ババカル、4得点の大山未南斗(ともに1年)がコートに立ったのは希望だ。大山は「もう1度この舞台に戻ってきたい」。敗れた経験こそ、未来への推進力になる。【浅水友輝】