レギュラーシーズン東地区2位の千葉ジェッツが、同1位の宇都宮ブレックスを71-62で破って通算2勝1敗とし、3度目の決勝で悲願の初優勝を遂げた。主将の富樫勇樹(27)を中心に結束し、50-50で最終クオーターに突入する接戦を制した。MVPには千葉のセバスチャン・サイズ(26)が選ばれた。宇都宮はBリーグ創設年以来4季ぶりの優勝を逃した。

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前半を35-35の同点で折り返すと、第3クオーター(Q)を終えても50-50の五分。激しい攻防が繰り広げられた中で、最後に底力を示した千葉が、悲願の初優勝をもぎとった。

歓喜の輪の中心にいたのは、167センチの小柄な司令塔だった。この日は序盤からファウルがかさみ、プレー時間に制限がかかったが、それでもコートに立つと存在感を発揮。第4Qの勝負どころでは、レイアップシュートを決めて1点差に詰め寄り、勝ち越した直後にはジャンプシュートを成功させて流れを大きく引き寄せた。

今季から主将を任されたが、「自分はこれまで通りやるだけ」と、気負うことなくシーズンに臨み、プレーでチームを鼓舞してきた。最高の結果でシーズンを終えても、「キャプテンとしての仕事は全然できていないと思う」と自己評価は厳しめだ。それでも主将に指名した大野監督は成長を感じている様子で、「とくにこのチャンピオンシップでは、試合前のロッカーから勇樹の声も少しずつ聞こえてきた。来年以降もリーダーとしてやってほしい」と話した。

試合終了後、宇都宮のベテラン田臥とハグを交わした。「おめでとうと言ってもらったのと、代表でも頑張れと声を掛けてもらった。今回はマッチアップの機会なかったが、田臥さんの存在は大きい」。所属クラブで悲願のタイトルを手にし、夏には日本の司令塔として、五輪の大舞台で大暴れする。【奥岡幹浩】

○…就任1年目の島田チェアマンは「本当にすごいファイナル。感動しました」と試合後にファンの前であいさつ。コロナ禍のシーズンで「何度も窮地に陥った」と振り返りつつ「最後までたどり着くことを目標にスタッフやクラブと走り続けてきた。今はほっとしています」と話した。表彰式では昨季まで自身が代表を務めた千葉の選手を祝福。富樫主将にチャンピオントロフィーを手渡した。

◆千葉ジェッツふなばし 11年に千葉ジェッツのチーム名でbjリーグに参入。経営難に陥ったが、12年に社長に就任した島田慎二氏が財政を立て直して屈指の人気チームに成長。13年からNBLに移籍した。16年にBリーグが設立されると、東地区1部に振り分けられた。17年から天皇杯3連覇を達成。19年よりミクシィと業務資本提携を結ぶ。本拠地は船橋アリーナ。チームマスコットはピンクの小象のジャンボくん。

○…宇都宮の比江島がチーム最多に迫る13得点をマークした。第2戦までは持ち前の得点力を発揮できなかったが、この日は終盤にも貴重なシュートを決めるなど存在感を示した。しかし、5つ目のファウルを犯しての退場に「不要なファウルをしてしまったし、ターンオーバーでリズムを狂わせてしまった。チームに申し訳ない気持ちでいっぱい」と肩を落とした。