東京五輪代表のトヨタ自動車・後藤希友投手(20)が7回3安打で完封で、4勝目を挙げた。最後の打者を空振り三振に仕留めるなど10奪三振。五輪後、初のリーグ戦で、見事に白星を呼び込んだ。

初回から先頭から連打を浴びた。五輪では幾度となくピンチで登板し、日本を救ってきた左腕は、ここでギアが入った。「ここが見せどころ」「しっかりしろ自分」と言い聞かせ、3者連続三振。立ち上がりを乗り切ると、2回以降は完全に試合を支配した。力強い直球とチェンジアップのコンビネーションで、2回以降は1安打に封じた。メキシコ代表のダラス・エスコベド投手との五輪代表投手対決を制した。

マウンドに立つと五輪の前との変化を実感できた。マウンドで自信を持って、淡々と打者と対峙できている自分がいた。「今までの日本リーグより緊張しなかった。世界の舞台、オリンピックに舞台を経験して、あれ以上の緊張感は感じない。今回も試合も緊迫した場面もあったが、冷静に投げることができた。1歩成長したのかな」。日の丸を背負い、しびれる何度も投げた経験が糧になっていた。

金メダルの価値も感じる。「応援していたよ」と声をかけられるようになった。「地元やトヨタに帰ったら、いろんな方に声をかけていただくようになった。SNSでもインスタのフォロワーにも反響していた」。20歳らしく言う。

24年パリ五輪では除外が決まっており、28年ロサンゼルス五輪での競技復帰を目指すソフトボール界。東京五輪の金メダルで高まった熱狂を未来へつないでいくことが必要になる。後藤は「今、ソフトボールがいろんな方に注目していただいている。ソフトボールの輪が広がっていくように。私たちはプレーで全力で尽くす。それを全うしていきたい」と誓った。チームは首位ビックカメラ高崎を追う2位。「まずは2年ぶりの王座奪還へ、チーム一丸で優勝を目指して頑張っていきたい」。逆転優勝へ、そしてソフトボールの将来を明るくするため、投げ続けていく。